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補助金は目的ではありません

2023年10月13日

「補助金は目的ではない」

「補助金はキャッシュ稼ぎではない」


これは、私が補助金申請支援に携わっていて感じていることです。


○○補助金をもらうために●●事業を行う

□□補助金をもらうために■■を開発する


など、色々な声をお聞きします。


それが自法人にとって本当に必要なものならば、〇〇補助金や□□補助金がなくても行うものは行う、開発するものは開発すべきです。


補助金は事業計画した内容が全て完了した後の後払いのため、入金まで半年〜1年かかることもあります。


そのため一時的にキャッシュがマイナスになったり、金融機関からの借入が増える場合もあるでしょう。


中には申請段階では経費として認められたものの、書類不備などを理由として事業実施報告段階では経費申請が否認されることもあります。


それでは『補助金迷子』にならないためには何が重要なのでしょうか。


そこで重要になってくるものは法人としての経営理念やビジョンであると考えています。


ここでは補助金迷子にならず補助金の検討や事業計画作成を通し、経営改善や飛躍を行うために持ちたい視点についてご紹介します。



まず、補助金は単発で終わるケースは少なく数回や数年度に及ぶことが多くあり、回を重ねるごとに審査基準は厳しくなる傾向にあります。


大まかな視点として、下記の4つの視点が必要です。

1.補助事業を行う理由

2.計画性

3.相乗効果

4.実現可能性


1.補助事業を行う理由

これはなぜその事業・開発等を行うのかや、なぜその機器を導入するのかという理由です。


単に

・労働生産性を向上するため

・投資対効果が得られるため

・売上が減少傾向にありキャッシュを確保するため


ではなく、まず「地域社会に貢献する」や「高齢者を幸せにする」といった経営理念・ビジョンがあるべきです。


それに対し、

・新事業によりさらに高付加価値なサービスを提供できより一層地域社会に貢献できる

・現状は無駄な間接業務を原因とし利用者(高齢者)と接する直接業務時間が少なく、ビジョンと乖離している。ICT機器を導入することで効率化され、直接業務に費やせる時間が増えて経営理念やビジョンに近づける


など、経営理念を強化する姿勢やギャップを埋める姿勢が必要になります。


ここを疎かにしてしまうと迷子になり、法人内でも

「なぜこの事業をやるのだろう」

「なぜこの機能を開発する必要があるのだろう」

などと疑心暗鬼となります。


モチベーションが上がらず当初期待した効果が得られない可能性が高まります。


なぜ行うのかという入り口段階での検討をしっかりと行うことで迷子になることを防ぐことができます。


2.計画性

○○補助金があったので●●事業を行うことにしました

□□補助金があったので■■を開発することにしました


と突発的なものではなく、1を元に計画的に考えていた場合の方が補助金の計画としては高い評価となります。


そのためにも定期的に経営理念・ビジョンと現状のギャップ把握に努め、自法人に何が必要なのかを検討する体制が必要になります。


数年度に渡り定期的に公募されている補助金もありますので中長期的に計画を立てることも有効です。


決め打ちではなく検討の時間を十分に確保したいですし、申請書作成時には十分な検討を経て決定したことを示したいです。


3.相乗効果

こちらは特に新しく販路を開拓する際や新事業を行う際に必要な視点です。


タピオカ、高級パン、唐揚げ、脱毛サロンなど、ビジネスには流行があります。


確かに流行に乗れば一定の収益を得られる可能性はありますが、流行だからという理由ではリスクが高いと言えます。


一般的に新規事業は既存事業との相乗効果が高いほど事業成功可能性が高まると言われています。


ただ実はこの相乗効果が意外と難しいところで、なんでもかんでも「相乗効果だ」と思えてしまいます。


例えば行政書士である私が脱毛サロンを始めとした場合、

・事務所に相談に来所された方に脱毛サロンの紹介をする

・脱毛サロンに事務所のパンフレットを配置する


「相互集客可能で相乗効果あり!」といった具合です。


当事務所の場合、中小企業支援がメインということもあり顧客層は40〜60代の方が多いです。


脱毛は20〜30代の方が多いと思いますので、実際には高い相乗効果は期待できません。


自分だけで考えてしまうと「相乗効果がある」という主観的な視点になってしまうため、本当に(高い)相乗効果があるのか客観的な視点を入れることをお勧めします。


4.実現可能性

補助金である以上、成果が出ないと事務局としては補助金を出した意味がなくなってしまいます。


そのためどのようなスケジュールで誰が何を担当するか等を根拠とし、成果を出せる可能性が高いことを示す必要があります。


先述した脱毛サロンの例で言いますと、私は脱毛をしたことはありませんし脱毛サロンで勤務した経験もありません。


それでも脱毛サロンを軌道に乗せることができますと言っても実現可能性は低いと見られます。


美容に精通し自分でも脱毛を行なっている、社内に脱毛サロン勤務経験者がいるなどの事実があれば、実現可能性はあると言えるでしょう。


言わばこれは自法人の「強みを活かせるか」ということに繋がります。


自法人の強みは何なのか、活かせる強みはあるのか、という視点を持ちたいです。


また、機器の導入等に関しては委員会やグループを結成することも良いです。


1人に任せるよりも組織としてPDCAを回していく体制があると、成果を出せる可能性をより高めることができます。



ここまで記載した内容は補助金の検討や事業計画作成を通して持ちたい視点の一部となります。


実際には経営上の計画(費用対効果があるのか)等も当然ながら検討します。


これらを自法人単独で行い採択までもっていくには多大な労力を要し難易度は中〜高です。


そのため当事務所をはじめとして補助金申請支援サービスを行う事業者があります。


中には計画書作成を全て請け負う代行業者もあり、その場合負担がかなり少なくお客様にとっては便利です。


ただ、私はそれでは意味がないと思っています。


補助金を検討し計画書を作成する中で現状とのギャップを洗い出し、自分達が置かれている状況について認識し目標を設定する。


そしてその定量的・定性的目標達成に向かって一緒に向かっていくことこそが、真の意味での補助金申請支援であると考えています。


当事務所はマーケティングコンサルパートナーやHP制作パートナーなどを有するため、事業全体で俯瞰し支援を行うことが可能です。


盛岡市や岩手県内だけでなく全国の補助金に対応しております。


ぜひ、お気軽にご相談くださいませ。


行政書士いのうえ法務事務所

井上 知紀

〒020-0033 岩手県盛岡市盛岡駅前北通6-36

Mail:inoue@asoffice-inoue.com

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