建設業に関わる方だと耳にすることのある建設業許可。この記事をご覧いただいている方の中でも取得を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは建設業許可の基本について、岩手県盛岡市の許認可に詳しい行政書士が解説をします。
こちらの記事は建設業許可の要件でなく、「建設業許可について気になり始めたので詳しくなりたい!」という方向けに作成しています。
建設業許可取得に向けた第1歩目としてお読みいただけますと幸いです。
⚫︎目次⚫︎
1.はじめに
まず前提として建設業許可は業種別に必要であり、大きく分けると「一式工事」と「専門工事」の2種類に分けられます。
一式工事は土木工事業と建築工事業の2種類ですが、専門工事はさらに下記の通り27業種もあります。
では一式工事と専門工事は何が違うのでしょうか。
大規模な工事や施工が複雑な工事の場合、複数の建設業者が関与する場合があります。
それぞれの業者が各々の順序で進めていたら完成などできず、工事全体を統括(マネジメント)する役割が必要になります。
これが一式工事です。
大型のビル工事をゼネコンが請け負い、各工事自体は下請け業者が施工する工事現場を想像するとイメージがつきやすいと思います。
ゼネコン会社でなくとも一式工事自体は可能ですが、自社が元請けかつ複数の下請けがある等統括する立場であることが必要です。
何でもかんでも「一式工事」にしてよい訳ではなく、建設業法違反とならないためにも判断に迷う際は事前に所轄庁へ確認することをおすすめします。
一式工事以外の工事が専門工事となります。
2.建設業許可はどんな時に必要か
建設業許可は「軽微な建設工事」のみを請け負う場合以外必要となります。
軽微な建築工事とは、工事1件の請負金額が500万円未満の工事を指します。
(建築一式工事の場合は請負金額が1,500万円未満の工事か延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事)
判断基準となる請負金額には消費税と地方消費税が含まれるだけでなく、注文者等から受けた資材の市場価格も含まれる点に注意が必要です。
また例えば900万円の工事に関し建設業法の適用を免れることを意図し、契約を3回各300万円に分けるようにしたとしても、合算した金額が請負代金の額とされます。
建設業法施工令上に規定がありますので、正当な理由なく意図的に分けることは絶対にやめましょう。
実際に建設業許可が必要なタイミングは工事請負契約を行うときです。
着工時ではないため余裕を持って申請する必要があります。
もう1点注意が必要なこととして、1つの業種で建設業許可を取得したとしても、許可を受けていない業種の工事は請け負えません。
工事1件の請負金額が500万円以上となる場合、冒頭記載の通り業種別に取得する必要があります。
当初申請時に要件を満たしているのであれば複数申請してしまうのも1つの手段です。
もちろんあとから追加もできますが、岩手県の場合50,000円の申請手数料が(行政書士に依頼する場合はさらに報酬が)発生します。
3.許可の申請先
建設業許可の申請先は都道府県知事または国土交通大臣です。
どちらが申請先になるかは「県外に営業所を設けるかどうか」によって変わり、1つの県のみの場合は都道府県知事、2つ以上の県の場合は国土交通大臣となります。
県外の工事を請け負うかどうかや事務所を設けるかどうかではなく、建設業法の営業所を設けるかどうかです。
そのため他県の工事を請け負う場合でも都道府県知事への申請で済む場合もあります。
ただしこの場合、工事請負契約は営業所でしか結べない点に注意が必要です。
例えば盛岡市に営業所のある事業者が秋田市の工事を請け負うこともできますが、あくまで工事請負契約は盛岡市の営業所で行います。
これが大臣許可で秋田市にも営業所がある場合は、秋田市の営業所で工事請負契約ができます。
営業所を設けた場合、当然専任技術者も必要となります。
4.おわりに
本記事では建設業許可の基本の「キ」について解説しました。
実際には
「果たしてこれから請け負う工事に建設業許可が必要なのか」
「これまで行ってきた工事に実は許可が必要だったのではないか」
などと判断が難しい場合もあります。
その際は管轄の窓口や近くの行政書士に相談しましょう。
最近では実際に500万円以上の工事を請け負う予定がなくても、元請けから許可取得を要請される場合もあります。
ぜひ、建設業許可の取得を検討してみてください。
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行政書士いのうえ法務事務所
井上 知紀
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