建設業許可を有する事業者は、決算終了後4ヶ月以内に決算変更届を提出しなければいけません。ここでは決算変更届とは何か、必要書類は何かについて、岩手・盛岡の建設業許可に詳しい行政書士が解説します。
〜目次〜
1.決算変更届とは
決算変更届とは、建設業許可を有している事業者が1年間の決算内容や工事内容について報告する書類です。
税理士が税務申告のために税務署へ提出する書類ではなく、建設業法に則って建設業許可業者(もしくは委任を受けた行政書士)が作成・提出します。
提出先は許可行政庁の管轄窓口で、岩手県知事許可の場合は岩手県、国土交通大臣許可の場合は東北地方整備局となります。
◼︎岩手県知事許可の場合◼︎
盛岡広域振興局土木部(主たる営業所の所在地が盛岡市、滝沢市、雫石町、紫波町、矢巾町のとき)
所在地:〒020-0023 岩手県盛岡市内丸11-1
電話:019-629-6656
その他の地域についてはコチラ(岩手県HP)>>>
◼︎国土交通大臣許可の場合◼︎
東北地方整備局建政部計画・建設産業課
所在地:〒980-8602 宮城県仙台市青葉区本町3-3-1 仙台合同庁舎B棟14階
電話:022-225-2171
「変更届」という名称ですが何か変更があった際に提出すれば良いものではなく、毎年決算終了後4ヶ月以内
に提出する必要があります。
2.提出しないとどうなるの?
決算変更届を提出しないと、業種追加手続きと5年ごとの更新手続きができず、さらに経営事項審査も受けられません。
また建設業許可に関する書類は所轄庁で閲覧することができ、取引先がしっかり提出しているかどうかも確認することができます。
取引先に対する「信用低下」にも繋がりかねませんので、毎年きちんと提出するようにしましょう。
建設業法では、提出を怠った場合の罰則規定も定められています。
第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 二 第十一条第一項から第四項まで(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出した者 |
もしこちらの記事をご覧の事業所様で未提出・提出期限を遅延している場合には、すぐに作成に取り掛かってください。
3.提出が必要な書類
それではいったいどのような書類が必要になるのでしょうか。
法人の場合と個人の場合に分けると、それぞれ必要書類は下記のようになります。
書類名 | 法人 | 個人事業主 | |
1 | 変更届出書(別紙8) | ○ | ○ |
2 | 工事経歴書(様式第2号) | ○ | ○ |
3 | 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号) | ○ | ○ |
4 | 貸借対照表 | ○ | |
5 | 損益計算書・完成工事原価報告書(様式第16号) | ○ | |
6 | 株主資本等変動計算書(様式第17号) | ○ | |
7 | 注記表(様式第17号の2) | ○ | |
8 | 附属明細表(様式17号の3) | ○ | |
9 | 貸借対照表(様式第18号) | ○ | |
10 | 損益計算書(様式第19号) | ○ | |
11 | 事業報告書 | ○ | |
12 | 納税証明書 | ○ | ○ |
13 | 使用人数(様式第4号) | ○ | ○ |
14 | 健康保険等の加入状況(様式第7号の3) | △ | △ |
15 | 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号) | △ | △ |
16 | 定款 | △ | △ |
○ → 提出必須書類
△ → 変更があった場合のみ提出
上記の必要書類について何点か補足をします。
(1)財務諸表関係
決算書に同様のものがありますがそのまま使用して良いわけではなく、決算書を見ながら建設業会計に基づき作成する必要があります。
そのため建設業と兼業の売上等(※)を分けていない場合には、この段階で「建設業に関するもの」と「兼業に関するもの」を仕訳する必要があります。
※売上、原価、売掛金、買掛金など
(2)工事経歴書
直前期の工事内容について、許認可の業種ごとに作成します。
上記(1)では「建設業」と「兼業」に分けましたが許可業種ごとに分けていない場合には、請求書や工事請負契約書等を見ながら許可業種とその他工事で仕訳する必要があります。
経営事項審査を受けない場合は元請けか下請けかに関わらず、金額の大きいものから順に10件程度記載すれば十分です。
経営事項審査を受ける場合は細かいルールがありますが、ここでは割愛します。
また経営事項審査を受けない場合は「税込み」で問題ないですが、経営事項審査を受ける場合には「税抜き」で作成する必要があります。
※ただし、免税事業者の場合は税込みとなります。
(3)直前3年の各事業年度における工事施工金額
直近3事業年度において発生した完成工事の金額を記載します。
記載は許認可の業種ごとに、また「元請け」と「下請け」を区別して記載していきます。
このときの合計値は決算書の損益計算書にある完成工事高金額と一致することとなります。
「税込み」で作成するか「税抜き」で作成するかは(2)の工事経歴書と同様です。
(4)事業報告書
こちらは任意書式のため岩手県のHPには書式がありません。
特に何を書いたら正解・不正解はないと思いますが、当事務所は下記で提出しています。
ポイントとしては経営指標として売上高と当期純利益について記載し、さらに今期の振り返りと次期の見込みも記載しています。
当期純利益ではなく、「本業(建設業+兼業)」に注目した営業利益でも良いかもしれません。
さらに詳しく経営指標を計算し載せることもできますがあえて載せていません。
独自フォーマットを公開されている行政書士は他にもいらっしゃいますので、フォーマットを見比べてみてもよいかと思います。
(5)納税証明書
岩手県知事許可の場合は「法人税事業税納税証明書」で、岩手県税事務所で取得することができます。
◼︎岩手県税事務所 〒020-0023 岩手県盛岡市内丸11-1
その他の地域についてはコチラ(岩手県HP)>>>
また、大臣許可の場合は「法人税納税証明書」となり、管轄の税務署で取得することができます。
◼︎盛岡税務署 〒020-8677 盛岡市本町通3丁目8番37号
その他の地域についてはコチラ(国税庁HP)>>>
上記の多くの書類は所轄庁のHPにあるエクセルファイル等で作成することもできますし、一般財団法人建設業情報管理センター等が提供する専用ソフトでも作成することができます。
経審を受ける際には経営状況分析を依頼しますが、専用ソフトで決算変更届を作成するとそのまま分析依頼をかけられるため便利です。
4.おわりに
こちらの記事では
・決算変更届とは何か
・提出の際の必要書類は何か
について解説をしました。
期を終えてから請求書の整理や仕訳内容の整理をすると想像以上に時間を取られます。
そのため普段から「建設業に関する売上」か「兼業」か、そして建設業の場合はどの業種に分類されるかを整理していきましょう。
決算変更届の作成においては決算書(もしくは確定申告書)を取り扱います。
単に提出フォーマットに合わせて作成して終わりではなく、決算書上の数字の意味や変化を理解し、時には経営について相談できる行政書士への依頼をオススメします。
当事務所は元地方銀行融資担当者の行政書士が運営しており、融資・資金繰り・補助金等のご相談も可能です。
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