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岩手県で建設業許可を取得しよう-許可要件を徹底解説-

  • 執筆者の写真: 行政書士 井上 知紀
    行政書士 井上 知紀
  • 2024年4月3日
  • 読了時間: 12分

更新日:9月16日

「今度500万円以上の工事を請け負うことになった」

「元請けから取得するように言われた」

「お客様からの信頼感を高めたい」


建設業許可の取得を検討し始めるきっかけは人それぞれです。なんとなく要件は知っているけど忙しくて手が回らない方も多いかと思います。


こちらの記事では、岩手県内で建設業許可取得を目指す方向けに


・どのような場合に建設業許可が必要になるのか

・建設業許可の要件とは何か


について、岩手県盛岡市の建設業許可専門の行政書士が分かりやすく解説いたします。



【 目次 】

5.まとめ



  1.建設業許可の種類

 まず前提として建設業許可は業種ごとに必要であり、大きく分けると「一式工事」と「専門工事」の2種類に分けられます。


一式工事とは、元請けの立場として工事を受注し下請けに各工事を任せながら、自身は工事全体の総合マネジメントを行うことで完成を目指す工事のことを言います。


専門工事は一式工事以外の工事を指します。


例えば一軒家を建築する場合、ハウスメーカーは一般個人から家の設計相談を受け、その後工事を請け負います。これが一式工事(この場合は建築一式工事)です。


ですが全ての工事をハウスメーカー自身が行うことは珍しく、ハウスメーカーはそこから水道工事はA社へ、電気工事はB社へ、塗装工事はC社へ…と専門の工事業者へ各工事を依頼します。


このときA~C社が行う工事が専門工事です。


一式工事は土木工事業と建築工事業の2種類ですが、専門工事はさらに下記の通り27業種もあります。


建設工事の種類

次の章では、建設業許可が必要になる場面について解説をします。




  2.建設業許可はどんな時に必要か

 建設業許可は「軽微な建設工事」のみを請け負う場合以外に必要となります。


軽微な建築工事とは、工事1件の請負金額が500万円未満の工事を指します。建築一式工事の場合は、請負金額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事のことを指します。


判断基準となる「請負金額」には消費税と地方消費税が含まれるだけでなく、注文者等から受けた資材の市場価格も含まれる点に注意が必要です。


例えば建設業許可を有していない状況で900万円の工事を受注したいと考えたときに、契約を複数に分けることによって各契約金額を500万円未満にすれば良いのでは、と考える方がたまにいらっしゃいます。

(例:300万円の契約×3=900万円)


このように建設業法の適用を免れることを意図し正当な理由なく契約を複数回に分けたとしても、実際には1つの工事ある以上合算した金額が請負代金の額とされます。


建設業法施工令上に規定がありますので、正当な理由なく意図的に分けることは絶対にやめましょう。


建設業法施行令 (法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事)

第一条の二 

2 前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。

3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。


また実際に建設業許可が必要なタイミングは工事請負契約を行うときです。着工時ではないため余裕を持って申請する必要があります。


たまに「直近で500万円の工事予定があるため至急建設業許可を取ってほしい!」というご相談をいただくことがあります。


岩手県の場合、建設業許可新規申請に対する標準処理期間は30日です。書類の準備等を含めますと、請負契約締結の2ヶ月前には準備を開始するとよいでしょう。


もう1つ注意が必要な点として、ある1つの業種で建設業許可を取得したとしても、許可を得ていない業種では軽微な工事以外を請け負うことはできません。


国家資格を有しているなどにより専任技術者要件を満たしているのであれば、当初の新規申請時に複数業種をまとめて申請してしまうのも1つの手段です。


もちろんあとから追加もできますが、岩手県の場合50,000円の申請手数料が(行政書士に依頼する場合はさらに報酬が)発生します。




  3.建設業許可の申請先

 建設業許可の申請先は都道府県知事(岩手県)または国土交通大臣です。これはどちらか好きな方を選べるわけではなく、営業所の所在地によって決められています。


具体的には、岩手県内のみに営業所を設ける場合は岩手県、県外にも営業所を設ける場合には国土交通大臣となります。


県外の工事を請け負うかどうかや事務所(工事請負契約は結ばない)を設けるかどうかではなく、2つの県にまたがって建設業法の営業所を設けるかどうかです。


そのため県外の工事を請け負う場合でも岩手県知事への申請となる場合も多くあります。


ただし工事請負契約は営業所でしか結べない点に注意が必要です。


例えば盛岡市に営業所のある事業者が仙台市の工事を請け負うこともできますが、あくまで工事請負契約は盛岡市の営業所で行います。


これが大臣許可で仙台市にも営業所がある場合は、仙台市の営業所で工事請負契約を締結することができます。


ここまでで建設業許可が必要なケースや注意点について理解していただいたと思いますので、次章以降は建設業許可の要件について見ていきます。




  4.建設業許可の要件

 建設業許可を取得するためには、大きく分けて以下の6つの要件を満たす必要があります。


1)経営業務の管理責任者がいること

2)適切な社会保険に加入していること

3)各営業所に専任の技術者がいること

4)請負契約に関し不正または不誠実な行為をするおそれがないこと

5)十分な財産的基礎または金銭的信用があること

6)過去に一定の法令や規定に違反した者でないこと


最近では社会保険に加入していない事業者の方が珍しく、社会保険加入に関して特段の解説は不要かと思います。また不正や過去の法令違反もないことを前提とし、1・3・5について詳しく解説をします。


4-1.経営業務の管理責任者がいること

 建設業は工事請負金額が高額で工期も長期間に及ぶ場合があり、さらに施工・引き渡し後も長期的に責任を負います。


施工中や引き渡し後すぐに倒産されてしまっては責任が果たされないため、依頼主が安心して契約できるように安定的な経営が求められます。


このような背景があるため、建設業許可取得に際しては経営者に一定の要件が定められています。その要件が下記(1)と(2)のいずれかです。


(1)常勤役員等のうち1人が、建設業に関し次のいずれかに該当する者であること

  • 5年以上経営業務の管理責任者としての経験がある

  • 5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として、経営業務を管理した経験がある

  • 6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験がある



(2)常勤役員等のうち1人が下記①か②に該当し、かつ常勤役員を補佐する者が③~⑤のいずれかに該当する者


◼︎ 常勤役員等の場合

①建設業に関し2年以上役員等としての経験があり、かつ5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者


簡単な図式に表すと下記のようになります。


建設業の役員等経験2年 + 建設業の役員等または役員等に次ぐ職制上の地位経験5年


肩書きではなく地位が重要であるため、仮に役員ではなく営業部長であっても、役員等に次ぐ職制上の地位にあったのであれば経営管理者として認められる余地があります。



②5年以上役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上役員等としての経験を有する者


こちらも簡単な図式に表すと下記のようになります。


他業種での役員等経験5年 + 建設業の役員等経験2年


◼︎ 常勤役員を補佐する者の場合

③5年以上の財務管理業務経験のある者

④5年以上の労務管理業務経験のある者

⑤5年以上の業務運営業務経験のある者


一般的に「経営業務の管理責任者」は「経管」と略されます。


経営業務は法人個人を問わないため、個人事業主として事業を開始した後に法人化した場合でも、個人事業主としての経歴を通算することができます。ただしこの「経営経験」はある程度厳しく見られます。


例えば開業して順調に仕事を受注していたものの、大きな怪我をしてある1ヶ月間はまるまる工事を請け負えなかった…ということもあるかと思います。


このような場合、工事の施工がなかった月は経営経験として認められない可能性があります。


私は岩手県だけでなく宮城県の建設業許可申請を行ったことがありますが、「経験」の考え方は所轄庁によって判断が分かれます(本来は統一されているべきですが)。


そのため判断に迷う際は事前に所轄庁へ確認されることをおすすめします。



4-2.各営業所に専任の技術者がいること

 専任技術者とは、建設工事に関する専門的な知識や技術・経験を有する技術者のことです。建設業許可を受ける業種ごとに、必要な資格や実務経験が定められています。


※専任技術者という名称は廃止され現在では「営業所技術者等」という名称が用いられていますが、こちらの記事では馴染みの深い専任技術者という名称を用います。


例えば建築一式工事の場合、1級建築施工管理技士や1級建築士などの資格が必要です。また、土木一式工事の場合は1級土木施工管理技士や2級土木施工管理技士などの資格が必要です。


専任技術者は営業所運営の統括責任者として、営業所の適切な運営、請負契約の適切な締結・履行の確保に向けた技術指導を行います。


そのため専任技術者となるためには要件が細かく定められており、下記3パターンに分けられます。


  • 取得したい建設業許可業種に応じた国家資格を有する者(例:1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士)

  • 取得したい建設業許可業種に応じた学歴と一定期間以上の実務経験を有する者(例:塗装工員として3年間勤務+2級技能検定へ合格)

  • 取得したい建設業許可に関する10年以上の実務経験を有する者(例:塗装工員として10年間勤務)


上記の順番通りに検討していくと負担を抑えながら申請準備を行うことができます。


「実務経験」とは建設工事の施工に関する技術上のすべての経験を指しますが、雑務や事務は該当しません。


専任である以上、他の営業所との兼任は認められません。


私がご相談いただく中ではこの「専任技術者要件」を満たせず、許可申請を見送る事業者様が一番多いです。


自分が取りたい建設業許可業種に必要な資格を早めに調べ、コツコツ資格取得を目指していくことが有効と言えます。


また、実務経験を示す際には過去の勤務先に対し協力を依頼することがあります。仲たがい等して退職すると協力を得られない場合がありますので、極力「立つ鳥跡を濁さず」で退職されることが望ましいです。


特に10年の実務経験を示す場合は依頼先が複数に及ぶ場合があり、資格等での証明時より時間がかかります。依頼先の都合も考え早めに相談しましょう。



4-3.十分な財産的基礎または金銭的信用があること

 建設業許可を取得するためには、一定の財産的基礎があることも必要です。具体的には以下のいずれかの要件を満たす必要があります。


(1)自己資本の額が500万円以上であること

(2)500万円以上の資金調達能力を有すること

(3)許可申請前の過去5年間許可を受け継続して営業した実績を有すること


上記のうち(3)はすでに建設業許可を有している事業者が業種を追加するケースを想定しているため、初めて申請される場合は(1)または(2)にて検討します。


自己資本に関して法人の場合は「自己資本=純資産」となるため分かりやすいですが、個人事業主の場合は少々計算が必要です。個人事業主の場合は下記数式の通りです。


期首資本金 + 事業主借 + 事業主利益 ー 事業主貸


言葉で書くと分かりにくいため図にすると下記の赤枠部分になります。


個人事業主(建設業)の貸借対照表
個人事業主(建設業)の貸借対照表

法人は資本金が500万円以上あっても繰越利益剰余金がマイナスの場合、純資産が500万円を下回っている場合もありますのでよく確認しましょう。


(2)に関し補足すると、疏明資料は預金残高証明書または融資証明書等となります。融資残高証明書(現在の融資残高を表す書類)ではありません。


仮にすでに500万円の借入があったとしても、それは500万円以上の資金調達能力を有しているとは見なされません。


また預金残高証明書は残高日(預金のあった日)から1ヶ月以内のものとなります。発行日から1ヶ月以内ではありません。


建設業の場合ですと完成工事未収入金(≒売掛金)や工事未払金によって、預金残高が月によって大きく変わることもあると思います。


事前に申請の下準備を行い、預金残高が500万円を超えるあたりで申請してしまうのも1つの手です。




  5.まとめ

 ここまで建設業許可の主要な許可要件について確認してきました。特に注意が必要点は


  • 経営業務の管理責任者

  • 営業所技術者等(専任技術者)

  • 財産的基礎


の3つでしたね。建設業許可の取得は、建設業を営む方にとって多くのメリットをもたらします。しかし、そのためにはこれまで確認してきた通りいくつかの要件を満たす必要があります。


岩手県内で建設業を営まれており許可取得を検討されている方は、この記事で解説した要件を参考にしていただきしっかりと準備を進めてください。


もし、建設業許可の取得についてご不明な点やご不安な点がございましたら、行政書士いのうえ法務事務所までお気軽にご相談ください。




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 建設業許可や経営事項審査の報酬については下記ページをご参照ください。



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