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  • 執筆者の写真井上 知紀

建設業許可を取得しよう-岩手県の手引きをもとに-

更新日:7月2日

「500万円以上の工事を受注したい」、「公共工事も受注したい」、「元請けから取得を要請されている」。そんな時に出番となるのが建設業許可です。建設業許可には一般建設業許可と特定建設業許可の2種類ありますが、ここでは多くの方が該当する一般建設業許可要件について解説をします。



1.はじめに


 建設業許可の基準として、下記の6つが定められています。


1)常勤役員等の体制が一定の条件を満たし適切な経営能力を有していること

2)適切な社会保険に加入していること

3)各営業所に技術者を専任で配置していること

4)請負契約に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと

5)請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること

6)過去において一定の法令の規定に違反した者でないこと


このうち②・④・⑥については手引き上での確認が簡単なため、こちらでは①・③・⑤について解説します。



2.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること


建設業は工事請負金額が多額で工期も長期間に及ぶ場合があり、さらには施工・引き渡し後も長期的に責任を負います。


施行中や引き渡し後すぐに倒産してしまってはその責任を果たせないため、依頼主が安心して契約できるよう安定的な経営が求められます。


そのような背景があり建設業許可取得に際しては経営者に一定の要件が定められています。


その要件が下記イとロのいずれかです。


イ 常勤役員等のうち1人が、建設業に関し次のいずれかに該当する者であること

(ⅰ)5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者

(ⅱ)5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験を有する者

(ⅲ)6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者


ロ 常勤役員等のうち1人が下記(ⅰ)or(ⅱ)に該当し、常勤役員を補佐する者が(ⅲ)or(Ⅳ)or(Ⅴ)に該当する者

(ⅰ)建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、かつ5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理または業務運営の業務を担当するものに限る)としての経験を有する者

 →「建設業の役員等経験2年」+「建設業の役員等または役員等に次ぐ職制上の地位経験5年」

(ⅱ)5年以上役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上役員等としての経験を有する者

 →「他業種での役員等経験5年」+「建設業の役員等経験2年」


(ⅲ)5年以上の財務管理の業務経験を有する者

(Ⅳ)5年以上の労務管理の業務経験を有する者

(Ⅴ)5年以上の業務運営の業務経験を有する者


一般的には「経営業務管理責任者」と呼ばれ、「経管」と略されます。


経営業務は法人個人を問わないため、当初個人事業主として事業を開始した後に法人化した場合でも、その経歴を通算することができます。



3.各営業所に技術者を専任で配置していること


 各営業所に許可を受けたい建設業に関する一定の経験を有する技術者を専任で配置する必要があり、これは一般的に「専任技術者」と呼ばれます。


専任技術者は営業所運営の統括責任者として、適切な営業所運営・請負契約の適切な契約や履行の確保に向けた技術指導を行います。


そのため専任の専任技術者となれる方の要件が細かく定められており、下記の通りの要件となります。


イ)取得したい建設業許可業種に応じた国家資格を有する者

ロ)取得したい建設業許可業種に応じた学歴と一定期間以上の実務経験を有する者

ハ)取得したい建設業許可に関する10年以上の実務経験を有する者


上記順番の通り、イ→ロ→ハの順で検討していくと負担が少ないです。


「実務経験」とは建設工事の施工に関する技術上のすべての経験を指しますが、雑務や事務は該当しません。


また専任である以上、他の営業所との兼任は認められません。


各要件は業種によって細かく定められており、こちらに記載するとページが長くなりわかりづらくなるため別途詳細ページを作成しています。


そちらもご参照ください。



4.請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること


 許可申請に際し「お金」の要件も定められており、次のいずれかに該当する必要があります。


イ)自己資本の額が500万円以上であること

ロ)500万円以上の資金調達能力を有すること

→こちらは金融機関から発行される預金残高証明書または融資証明書等で示す必要があります(岩手県の場合)

ハ)許可申請前の過去5年間許可を受け継続して営業した実績を有すること


上記のうち「ハ」は業種追加の場合のため、全くの新規申請の場合は「イ」または「ロ」にて検討をします。


自己資本に関し法人の場合は「純資産」のため分かりやすいですが、個人事業主の場合は少々計算が必要です。


個人事業主の場合は「期首資本金 + 事業主貸 + 事業主利益 ー 事業主借」という計算になります。


言葉で書くと分かりにくいため図にすると下記の赤枠部分になります。


貸借対照表

電子帳簿をつけていると分かりやすいですね。


法人は資本金が500万円以上あっても繰越利益剰余金がマイナスの場合、純資産が500万円を下回っている場合もありますのでよく確認しましょう。


また「ロ」に関し、疏明資料は預金残高証明書または融資証明書等となります。


融資残高証明書(現在の融資残高を表す書類)ではありません。


すでに融資を受けているものの運転資金や設備資金として使用し、預金に500万円もない場合もありえます。


その場合は所轄庁やお近くの行政書士にご相談ください。



5.おわりに


ここまで大まかにですが一般建設業許可要件について確認してきました。


建設業許可の難しいところは人的要件である、経営管理者と専任技術者の要件を満たせているかどうかかと思います。


ご自身での判断が不安だったり判断がつかない場合は、行政書士や管轄窓口に確認しましょう。


【岩手・盛岡で建設業許可と言えば“行政書士いのうえ法務事務所”!】

行政書士いのうえ法務事務所

井上 知紀

〒020-0033 岩手県盛岡市盛岡駅前北通6-36


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