岩手県で建設業許可を取得しよう-許可要件を徹底解説-
更新日:11 時間前
「500万円以上の工事の相談が入った」
「元請けから取得するように言われた」
「お客様からの信頼感を高めたい」
建設業許可の取得を検討し始めるきっかけは人それぞれです。なんとなく必要な要件は知っているけど細かいところは知らなかったり、日々の工事で忙しく申請の準備に手が回らなかったりする方も多いと思います。
こちらの記事では、岩手県内で建設業許可取得を目指す方向けに
どのような場合に建設業許可が必要になるのか
建設業許可の要件とは何か
について、岩手県盛岡市の建設業許可専門の行政書士が分かりやすく解説いたします。
【 目次 】
1.建設業許可の種類
4.建設業許可の要件
4-1.経営業務の管理責任者がいること
4-2.各営業所に専任の技術者がいること
5.まとめ
1.建設業許可の種類
まず前提として建設業許可は業種(工事の種類)ごとに必要であり、大きく分けると「一式工事」と「専門工事」の2種類に分けられます。
一式工事とは、元請けの立場として工事を受注し下請けに各工事を任せながら、自社は工事全体の総合マネジメントを行うことで完成を目指す工事のことを言います。
他方、専門工事は一式工事以外の工事を指します。
例えば一軒家を建築する場合で考えてみましょう。
まずハウスメーカーは一般個人から家の設計相談を受け、間取りや内装のデザイン、窓の位置などを決めていきます。
その後、デザインや費用面などの合意が取れたら顧客と家を1棟建築する契約を結びます。これが一式工事(この場合は建築一式工事)です。
顧客と結ぶ契約は基本的に「家を1棟完成させる」という契約であり、ハウスメーカー自身ですべての施工しなければいけないという契約ではありません。
そのためハウスメーカーはそこから大工工事はA社へ、塗装工事はB社へ、電気工事はC社へ…と専門の工事業者へ各工事を依頼します。
このときA~C社が行う工事が専門工事です。
つまり細かく分類すると、1棟の家を建築するには
大工工事
足場工事
塗装工事
電気工事
水道工事
など、多くの専門工事が集約されており、それを統括するのが一式工事です。
一式工事は「土木工事業」と「建築工事業」の2種類ですが、専門工事はさらに下記の通り27業種に分けられています。

一式工事と専門工事の違いを理解していただけたかと思いますので、次の章では建設業許可が必要になる場面について解説をします。
2.建設業許可はどんな時に必要か
建設業許可は「軽微な建設工事」のみを請け負う場合以外に必要となります。この「軽微な建築工事」とは、工事1件の請負金額が500万円未満の工事を指します。
(ただし、建築一式工事の場合は、請負金額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事のことを指します)
判断基準となる「請負金額」には消費税が含まれるだけでなく、注文者などから提供を受けた資材の市場価格も含まれる点に注意が必要です。
最近は資材価格が非常に高騰しており、建設業許可が必要になる工事が増えたと耳にします。
では、契約書の金額が500万円以上にならないよう、契約書を分けることは問題ないのでしょうか?
例えば建設業許可を有していない状況で900万円の工事の相談が入った場合、契約を複数回に分けることによって各契約書の金額を500万円未満にすれば良いのでは、と考える方がたまにいらっしゃいます。
(例:300万円の契約×3回=900万円)
上記のように建設業法の適用を免れることを目的として正当な理由なく契約を複数回に分けたとしても、実際には1つの工事ある以上、合算した金額が工事の請負代金の額とされます。
建設業法施行令上に明記されておりますので、正当な理由なく意図的に分けることは絶対にやめましょう。
建設業法施行令 (法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事) 第一条の二 2 前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。 3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。 |
また実際に建設業許可が必要なタイミングは工事請負契約を結ぶときです。着工時ではないため余裕を持って申請する必要があります。
岩手県の場合、建設業許可新規申請の標準処理期間は30日です。建設関係の資格を持っているどうかなどにもよりますが、書類の準備には1ヶ月程度要するため、書類の準備+審査期間を考慮すると請負契約締結の2ヶ月前には準備開始するとよいでしょう。
もう1つ注意が必要な点として、ある1つの業種で建設業許可を取得したとしても、許可を得ていない業種では当然ながら軽微な工事以外を請け負うことはできません。
国家資格を有しているなどにより営業所技術者要件を満たしているのであれば、当初の新規許可申請時に複数業種をまとめて申請してしまうのも1つの手段です。
もちろんあとから追加もできますが、岩手県の場合50,000円の申請手数料が(行政書士に依頼する場合はさらに報酬が)発生します。
3.建設業許可の申請先
建設業許可の申請先は都道府県知事(岩手県)または国土交通大臣です。これはどちらか好きな方を選べるわけではなく、営業所の所在地によって決められています。
具体的には、岩手県内のみに営業所を設ける場合は岩手県、岩手県以外にも営業所を設ける場合には国土交通大臣となります。
県外の工事を請け負うかどうかや事務所(単なる休憩所など)を設けるかどうかではなく、2つの県にまたがって建設業法上の営業所を設けるかどうかです。
そのため県外の工事を請け負う場合でも岩手県知事への申請となる場合も多くありますが、工事請負契約は営業所でしか結べない点に注意が必要です。
例えば盛岡市に営業所のある会社が仙台市の工事を請け負うこともできますが、あくまで工事請負契約は盛岡市にある営業所で行います。
これが大臣許可を取得しており仙台市にも営業所がある場合には、仙台市の営業所でも工事請負契約を結ぶことができます。
仮に他県に営業所を設ける場合でも営業所自体は使用権原があればよく、支店登記されていることまでは求められていません。
また建設業許可の申請先は岩手県ではありますが、実務上は各地域にある広域振興局が対応しています。
■盛岡市、滝沢市、雫石町、紫波町、矢巾町 盛岡広域振興局土木部(盛岡市内丸11-1) ■八幡平市、葛巻町、岩手町 盛岡広域振興局土木部 岩手土木センター(岩手郡岩手町大字五日市9-48) ■花巻市、遠野市 県南広域振興局土木部 花巻土木センター(花巻市花城町1-41) ■北上市、西和賀町 県南広域振興局土木部 北上土木センター(北上市芳町2-8) など |
さて、建設業許可が必要なケースや注意点、県知事許可か大臣許可なのかについて理解していただいたかと思いますので、次章以降は建設業許可の具体的な要件について確認していきます。
4.建設業許可の要件
建設業許可を取得するためには、大きく分けて以下の6つの要件を満たす必要があります。
1)経営業務の管理責任者がいること
2)適切な社会保険に加入していること
3)各営業所に専任の技術者がいること
4)請負契約に関し不正または不誠実な行為をするおそれがないこと
5)十分な財産的基礎または金銭的信用があること
6)過去に一定の法令や規定に違反した者でないこと
最近では加入の必要性がありながら社会保険に加入していない事業者の方が珍しいため、社会保険加入に関しての解説は割愛します。また不正や過去の法令違反もないことを前提とし、1・3・5について詳しく解説します。
4-1.経営業務の管理責任者がいること
建設業は工事請負金額が高額で工期も長期間に及ぶ場合があり、さらに施工・引き渡し後も長期的に責任を負います。
施工中や引き渡し後すぐに倒産されてしまってはその責任が果たされないため、依頼主が安心して契約できるように安定的な経営が求められます。
このような背景があるため、建設業許可取得に際しては経営者に一定の要件が定められています。その要件が下記(1)と(2)のいずれかです。
(1)常勤役員等のうち1人が、建設業に関し次のいずれかに該当する者であること
5年以上経営業務の管理責任者としての経験がある
5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として、経営業務を管理した経験がある
6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験がある
(2)常勤役員等のうち1人が下記①か②に該当し、かつ常勤役員を補佐する者が③~⑤のいずれかに該当する者
◼︎ 常勤役員等の場合
①建設業に関し2年以上役員等としての経験があり、かつ5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位(職場での立場)にある者としての経験を有する者
簡単な図式に表すと下記のようになります。
建設業の役員等経験2年 + 建設業の役員等または役員等に次ぐ職制上の地位経験5年 |
肩書きではなく地位が重要であるため、仮に営業部長などであっても経営管理者として認められる余地があります。
②建設業以外の業種で5年以上役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上役員等としての経験を有する者
こちらも簡単な図式に表すと下記のようになります。
他業種での役員等経験5年 + 建設業の役員等経験2年 |
◼︎ 常勤役員を補佐する者の場合
③5年以上の財務管理経験のある者
④5年以上の労務管理経験のある者
⑤5年以上の業務運営経験のある者
一般的に「経営業務の管理責任者」は「経管」と略されます。
経営業務は法人個人を問わないため、個人事業主として事業を開始した後に法人化した場合でも、個人事業主としての経歴を通算することができます。ただしこの「経営経験」はある程度厳しく見られます。
例えば開業して順調に仕事を受注していたものの、大きな怪我をしてある1ヶ月間まるまる工事を請け負えなかった…ということもあるかと思います。
このような場合、工事の施工がなかった月は経営経験として認められない可能性があります。
経験年数に十分余裕がある場合は問題ありませんが、余裕がなく(5年ぴったりの場合など)判断に迷う際は所轄庁へ確認することをおすすめします。
4-2.各営業所に専任の営業所技術者がいること
営業所技術者とは、建設工事に関する専門的な知識や技術・経験を有する技術者のことを指します。各営業所には、許可業種に対応する「営業所技術者等(旧称:専任技術者)」を置く必要があります。
営業所技術者は営業所運営の統括責任者として、営業所の適切な運営、請負契約の適切な締結・履行に向けた技術指導を行います。
建設工事において非常に重要な立場であることから、営業所技術者になるためには一定の資格を有していることや実務経験が必要です。
具体的には下記3パターンに分けられています。
取得したい建設業許可業種に応じた国家資格を有する者
(例:1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士)
取得したい建設業許可業種に応じた学歴と一定期間以上の実務経験を有する者
(例:塗装工員として3年間勤務+2級技能検定へ合格)
取得したい建設業許可に関する10年以上の実務経験を有する者
(例:塗装工員として10年間勤務)
上記の順番通りに要件を満たす人がいるかどうか探していくと、書類・申請準備の負担を軽減することができます。
「実務経験」とは建設工事の施工に関する技術上のすべての経験を指しますが、雑務や事務は該当しません。専任である以上、他の営業所との兼任は認められません。
私がご相談いただく中ではこの「専任技術者要件」を満たせず、許可申請を見送る事業者様が一番多いです。
自分が取りたい建設業許可業種に必要な資格を早めに調べ、コツコツ資格取得を目指していくことが有効と言えます。
また、実務経験を示す際には過去の勤務先に対し協力を依頼することがあります。仲たがい等して退職すると協力を得られないこともありえますので、極力「立つ鳥跡を濁さず」で退職されることが望ましいです。
特に10年の実務経験を示す場合は依頼先が複数に及ぶ場合があり、資格等での証明時より時間がかかります。依頼先の都合も考え早めに相談しましょう。
4-3.十分な財産的基礎または金銭的信用があること
建設業許可を取得するためには、一定の財産的基礎があることも必要です。具体的には以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
(1)自己資本の額が500万円以上であること
(2)500万円以上の資金調達能力を有すること
(3)許可申請前の過去5年間許可を受け継続して営業した実績を有すること
上記のうち(3)はすでに建設業許可を有している事業者が業種を追加するケースを想定しているため、初めて申請される場合は(1)または(2)にて検討します。
自己資本に関して法人の場合は「自己資本=純資産」となるため分かりやすいですが、個人事業主の場合は下記計算式に基づいて計算する必要があります。
期首資本金 + 事業主借 + 事業主利益 ー 事業主貸 |
言葉で書くと分かりにくいため図にすると下記の赤枠部分になります。

法人は資本金が500万円以上あっても繰越利益剰余金がマイナスの場合、純資産が500万円を下回っていることもありますのでよく確認しましょう。
(2)に関し補足すると、疏明資料は預金残高証明書または融資証明書等となります。融資残高証明書(現在の融資残高を表す書類)ではなく、融資証明書(融資する意思があることを銀行が示す書類)です。
仮にすでに合計500万円以上の融資を受けていても、それは500万円以上の資金調達能力を有しているとはみなされません。
また預金残高証明書は残高日(預金のあった日)から1ヶ月以内のものとなります。発行日から1ヶ月以内ではありません。
建設業の場合ですと完成工事未収入金(≒売掛金)や工事未払金によって、預金残高が月によって大きく変わることもあると思います。
事前に申請の下準備を行い、預金残高が500万円を超えるタイミングで申請してしまうのも1つの手です。
5.まとめ
ここまで建設業許可の主要な要件について確認してきました。特に注意が必要点は
経営業務の管理責任者
営業所技術者
財産的基礎
の3つでしたね。建設業許可の取得は大きい工事を受注出来たり依頼主からの信用が高まったりなど、建設業を営む方にとって多くのメリットをもたらします。ですが、許可取得のためにはこれまで確認してきた通りいくつかの要件を満たす必要があります。
特に「経験」であったり「資格」は数日間でどうこうできるものではなく、何年間か経たないと満たせないというケースもあります。
岩手県内で建設業を営まれており今後建設業許可の取得を検討されている方は、この記事で解説した内容を参考にしていただきしっかりと準備を進めてください。
もし、建設業許可の取得についてご不明な点やご不安な点がございましたら、行政書士いのうえ法務事務所までお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

井上知紀
行政書士・許認可×資金調達プロデューサー
地方銀行での融資・法人営業経験を活かし、許認可と資金調達の両面から中小企業を支援。財務要件のある運送業・建設業・産廃業廃棄物収集運搬業許可を得意としている。
建設業許可や経営事項審査の報酬については下記ページをご参照ください。
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