井上 知紀
新創業融資制度の概要
更新日:4月23日
新しく事業を始める際や会社設立の際に気になるものとして「融資」があります。
こちらでは新創業融資制度(以下創業融資)の内容と、なぜ創業時に検討した方が良いのか解説いたします。
▼目次
1.ご利用いただける方
創業支援をご利用いただける方の要件として、下記の2つを満たす必要があります。
①対象者の要件
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
②自己資金の要件
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方
②については「勤務経験のある企業と同業種で開業する場合」と「創業塾や認定特定創業支援等事業などを受けた上で開業する場合」には、要件を満たすものとして扱われます。
2.資金使途
資金使途としては設備資金と運転資金が対象となります。
※設備資金・・・機械・事業用車両・事務所や店舗の増改築費などの事業用設備を購入するための資金
※運転資金・・・仕入・給与・広告費用など、事業を行なっていく上で必要な資金
3.融資限度額
3,000万円(うち運転資金は1,500万円)
4.借入期間
各融資制度による(新創業融資制度は独立した融資制度ではなく、他の融資制度と組み合わせて申込むため)
5.利率
日本政策金融公庫の基準による
6.保証や担保の有無
無担保・無保証である点が特長です。
・有担保の場合、土地や建物を担保として差し出します。融資の返済ができなくなった時
に金融機関が土地や建物を売却し、お金を回収するためです。
・有保証の場合、代表者などが保証人となります。保証人は融資の返済ができなくなった
時に債務者(お金を借りている法人・人)に代わって返済義務を負います。
7.その他
別途加入費用が発生し、また健康状態によっては加入できない場合もありますが、個人事業主の場合には団体信用生命保険(略して団信)に加入することができます。
死亡時や所定の高度障がい状態になった場合に保険金が支払われ、債務を弁済することができます。
加入費用は少額であり負担が少なく、万が一のときに安心です。
なぜ創業時の利用をオススメするかと言いますと、創業直後は仕入代金や各種税金・家賃・保険料等の支払いでどんどんお金が出ていく一方、売上は少なくあったとしても売掛によりなかなか入ってこないという状態に陥る可能性があります。
「なんとか1期しのいだけど苦しくなってきた。そろそろ融資も受けたいな」と思ったときに、決算書の状況はいかがでしょうか?
黒字であれば良い印象を与えられますが、赤字の場合は悪い印象を与えてしまうことがあります。
開業当初は赤字でも2、3年後に黒字になる計画をしている場合、しっかりと計画に沿った赤字であることが説明できれば問題ありません。
また、創業融資の申込時には最低でも事業計画書と収支計画書を提出します。
自己資金のみで開業される際も計画書等を作成されるかと思いますが、単独で作った計画は甘くなりがちです。
融資を申込むことで計画書に他人の目のチェックが入るという利点があります。
さらに、必須提出書類の事業計画書と収支計画書に加えて、自身のキャリアや販促計画について詳しく記載した説明資料の作成・提出をおすすめします。
日本政策金融公庫の計画書雛形を見ていだくと分かりますが記入スペースが少ないため、事業の強みや計画を伝えきれないことのないように準備をしましょう。
8.おわりに
私が金融機関に勤めていたときにされて困った質問として、「いくらまで借りられますか?」という質問があります。
法人や決算の状況、信用情報、担保の有無等により変わってくるため答えることができません(金融機関の職員が断定的な発言をすることはまずないです)。
そのような質問をされると融資について分かっていないなという印象を受けます。
また事業計画書については、「熱意がある」や「フットワークが軽い」という記載は誰でもでき、むしろそれ以外に強みはないのかなと感じたり計画が十分に練られているのかと疑ったりします。
熱意やフットワークの軽さは重要ですが、「他に記載することがないから記載した」ということは避けましょう。
当事務所では事業計画書の作成支援を行なっております。
行政書士として許認可を扱えまた補助金を得意としており、長期的なご支援が可能です。
もしお困りの際にはお気軽にご相談くださいませ。
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