障害福祉サービスは「障害者総合支援法」に基づくサービスと、「児童福祉法」に基づくサービスがあります。
本記事では前者について、介護の支援を受ける「介護給付」と訓練等の支援を受ける「訓練等給付」に分けながら見ていきます。
全体像としては下記図のようになります。
介護給付
介護給付の対象となるサービスは、①訪問系、②日中活動系、③施設系にカテゴリ分けされます。
訪問系
1.居宅介護
ホームヘルパーが障害のある方の自宅に出向き、①身体介護、②家事援助、③生活全般に関する相談・援助を行います。
2.重度訪問介護
重度の肢体不自由・知的障害・精神障害により行動上著しい困難を有し、また常時介護を要する方の自宅にホームヘルパーが出向き、①身体介護、②家事援助、③生活全般に関する相談・援助、④入院時の支援を行います。
3.同行援護
視覚障害により移動に著しい困難を有する方が外出する際に同行し、①移動に必要な情報提供、②移動の援護、③外出する際の必要な援助(食事や排泄等)を行います。
4.行動援護
知的障害または精神障害があり行動の際には常時介護を要する方に対し、①危険を回避するために必要な援護、②外出時における移動中の介護、排せつ、食事等の介護、③その他行動する際の必要な援助を行います。
5.重度障害者等包括支援
重度の障害を有し常時介護の必要性が非常に高い方に対し、訪問系サービス(重度訪問介護等)や通所サービス(生活介護、短期入所等)等を組み合わせて包括的な支援を行います。
日中活動系
6.短期入所
自宅で介護する方が病気等になった際に障害者支援施設や児童福祉施設等に短期間入所し、入浴、排せつ及び食事の介護その他の必要な支援を行います。
7.療養介護
病院等に入院し医療と常時介護を必要とする方に対し、医療機関で①機能訓練、②療養上の管理、③看護、④介護、⑤日常生活上の支援を行います。
8.生活介護
常時介護が必要な方が日中に障害者施設に通い、①入浴、排せつ及び食事等の介護、②調理・洗濯・掃除等の家事、③生活等に関する相談及び助言、④その他必要な日常生活上の支援、⑤創作的または生産活動の機会の提供、⑥その他の身体機能または生活能力向上のために必要な支援を行います。
施設系
9.施設入所支援
施設に入所する障害を有する方に対し、主に夜間の入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談・助言、その他の必要な日常生活上の支援を行います。
訓練等給付
訓練等給付は居住支援系と訓練・就労系の2つにカテゴリ分けされます。
居住支援系
10.自立生活援助
障害者支援施設等を利用後に自宅で1人暮らしをする障害を有する方に対し、定期的な巡回訪問や随時通報を受けて行う訪問、相談対応等により問題を把握し、必要な情報の提供・助言・相談、関係機関との連絡調整等自立した日常生活を営むために必要な援助を行います。
11.共同生活介護
障害を有する方が施設へ入居し、主として夜間に、入浴・排せつ・食事の介護、その他必要な日常生活上の援助を行います。日中は就労先や就労継続支援事業所に通うことが一般的です。
訓練・就労系
12.自立訓練(機能訓練)
理学療法士や作業療法士が身体障害のある方に対し、障害者支援施設、障害福祉サービス事業所、居宅にて、1人暮らしに必要なリハビリテーション等の支援を行います。
13.自立訓練(生活訓練)
精神障害または知的障害を有する方に対し、障害者支援施設、障害福祉サービス事業所、居宅にて、自立して生活するための入浴・排せつ・食事等に関する必要な訓練、生活等に関する相談及び助言その他の必要な支援を行います。
14.就労移行支援
一般企業に就労を希望する障害のある方に対し、生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談その他の必要な支援を行います。
15.就労継続支援A型
一般企業に就労することが困難な障害を有する方に対し、雇用契約を結んだ上で生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。
16.就労継続支援B型
障害等を理由に一般企業に雇用されることが困難な障害を有する方に対し、雇用契約を締結せず生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。(工賃を支払います)
17.就労定着支援
就労移行支援や就労継続支援を受けて一般企業に新たに雇用された障害を有する方に対し、就労継続を図るための企業・障害福祉サービス事業者・医療機関等との連絡調整、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での問題に関する相談・指導・助言等の必要な支援を行います
サービスは就労してから6ヶ月を経過した場合で、期間は3年間。
18.自立生活援助
障害者支援施設等を利用後に自宅で1人暮らしをする障害を有する方に対し、定期的な巡回訪問や随時通報を受けて行う訪問、相談対応等により問題を把握し、必要な情報の提供・助言・相談、関係機関との連絡調整等自立した日常生活を営むために必要な援助を行います。
19.共同生活介護
障害を有する方が施設へ入居し、主として夜間に、入浴・排せつ・食事の介護、その他必要な日常生活上の援助を行います。日中は就労先や就労継続支援事業所に通うことが一般的です。
おわりに
障害福祉サービスは多くの種類がありまた法律が絡み合っているため理解を難しくしています。
ですがこのように分けて見ていくと理解が進みます。
また、冒頭で「障害者総合支援法に基づくサービスと児童福祉法に基づくサービスがある」とお話ししましたが、障害者総合支援法に基づくサービスの中には障害児も利用できるサービスがあります。
それが下記図の通りです。
ご参考までに2023年6月1日時点での岩手県内における事業者数も合わせて記載します。
介護給付サービスの一部は対象となりますが、訓練等給付は基本的に就労に関するサービスのため対象となりません。
次回は児童福祉法に基づく障害福祉サービスについて見ていきます。
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