育成就労ビザで人材不足を解消!技能実習・特定技能との違いを徹底解説
- 行政書士 井上 知紀
- 4月28日
- 読了時間: 6分
更新日:4月28日
こんにちは、行政書士いのうえ法務事務所の井上です。岩手県内の企業の皆様、深刻な人手不足にお困りではありませんか?少子高齢化・働き手の減少が進む現代において、優秀な人材の確保は企業の存続と成長に不可欠です。
近年、人手不足を解消する有効な手段の一つとして、外国人材の受け入れが日に日に存在感を増しています。
これまで「技能実習制度」や「特定技能制度」を活用されてきた企業様もいらっしゃるかと思いますが、今後技能実習制度は廃止され、2027年4月には新たな在留資格「育成就労」が創設されます。
こちらの記事ではこの育成就労制度について、制度概要、技能実習制度や特定技能制度との違い、そして岩手県内の企業様にとってどのような可能性を秘めているのかを、行政書士の視点から詳しく解説させていただきます。
【目次】
1.育成就労制度とは
5.おわりに
1.育成就労制度とは
育成就労制度は、深刻化する人手不足に対応するため「外国人材の育成と確保」を目的とした新たな在留資格です。
この制度の大きな特徴は、「育成期間における転籍を可能とする」点です。技能実習制度では原則として認められていなかった転籍が、育成就労制度では一定の要件の下で可能となります。
「原則転籍禁止」という技能実習制度は、米国務省人身取引報告書などにおいて人権侵害の温床になっていると批判を浴びてきました。
技能実習生の約55%は借金(平均約55万円)をして来日しており、過酷な労働環境下でも働かざるを得ない状況にある方も実際にいました。
今回転籍が認められることにより、外国人労働者はより自身のキャリアプランや適性に合った環境で働くことができ、企業側もより意欲と能力の高い人材を確保しやすくなることが期待されます。
また、育成就労制度は特定技能制度への移行を前提として設計されています。育成期間を経て一定の技能水準に達した外国人労働者は、特定技能1号へとスムーズに移行し、より長期にわたり日本で活躍することが可能になります。
2.技能実習制度との違い
技能実習制度は開発途上国の外国人を日本で受け入れ、日本の技能や知識を移転することでその国の経済発展に貢献することを目的とした制度です。
しかし、近年では人手不足を補う手段として利用されるケースも少なくありませんでした。育成就労制度と技能実習制度の主な違いは以下の通りです。
・目的
技能実習制度は国際貢献が主目的であるのに対し、育成就労制度は人手不足の解消と外国人材の育成・確保を主目的としています。
・転籍
技能実習制度では原則として転籍が認められていませんでしたが、育成就労制度では一定の要件の下で転籍が可能です。
・期間
技能実習の在留期間は最長5年ですが、育成就労の在留期間は3年です。特定技能1号への移行を希望するも試験に不合格となった方は、最長1年の在留継続が認められます。
・受け入れ対象職種
技能実習制度は91職種(2025年5月現在)で受け入れが可能ですが、育成就労制度は特定産業分野(生産性向上や国内人材確保を行ってもなお、外国人の受入れが必要な分野)のうち、就労を通じて技能を修得させることが相当なものに限られる予定です。
技能実習制度は、国際協力という重要な側面を持つ一方で、外国人労働者にとっては必ずしもキャリアアップや長期的な就労に適した制度設計とは言えませんでした。
育成就労制度はこれらの課題を踏まえ、外国人労働者と受け入れ企業双方にとって、より持続可能で魅力的な制度となることが期待されます。
3.特定技能制度との違い
特定技能制度は、深刻な人手不足が生じている特定の産業分野において、一定の技能水準を有する外国人を受け入れるための在留資格です。
特定技能1号と2号があり、1号は比較的単純な作業に従事する外国人、2号はより熟練した技能を要する業務に従事する外国人を対象としています。
育成就労制度と特定技能制度の主な違いは以下の通りです。
・育成の有無
特定技能制度は即戦力となる外国人労働者を受け入れる制度であるのに対し、育成就労制度は育成期間を経て特定技能への移行を前提としています。
・日本語能力
特定技能では一定の日本語能力(N4以上程度)が求められますが、育成就労制度では入国当初は比較的低い日本語能力(N5程度)でも受け入れ可能となる方針です(育成期間を通じて日本語能力の向上が求められます)。
・技能水準
特定技能では入国前に一定の技能試験に合格する必要がありますが、育成就労制度では育成期間におけるOJTなどを通じて技能を習得していくことが想定されます。特定技能への移行を希望する場合には、育成就労期間中に技能検定試験への合格や日本語能力の向上が求められます。
・在留期間
特定技能1号の在留期間は通算で最長5年ですが、特定技能2号には在留期間の上限がありません。育成就労から特定技能2号へ移行することで、外国人労働者は長期にわたり日本で活躍することが可能になります。
・受け入れ対象職種
特定技能は16分野(2025年5月現在)
特定技能制度は、即戦力となる外国人材を迅速に確保する上で有効な制度ですが、日本語能力や技能水準の要件を満たす人材を見つけることが難しい場合もあります。
育成就労制度はそのような課題を克服し、長期的な視点で外国人材を育成し特定技能へと繋げていくことで、安定的な人材確保に貢献することが期待されます。

4.岩手県内企業様にとっての可能性
人手不足が深刻な岩手県内の企業様にとって、育成就労制度は新たな人材確保の選択肢となる可能性があります。
技能実習や特定技能の在留資格は、都市部への人材の偏りが問題視されてきました。特に特定技能は転籍が認められているため、当初は岩手県の企業で働くために来日しても、すぐに東京など都会の企業へ転職してしまうケースもあります。
こうなると都市部に比べて賃金の低い地方ではなかなか人手不足が解消されません。
今回の育成就労では都市部への偏りを防止する観点から、8都府県では受け入れ制限が行われる方針です。
あくまで省令案のため、内容が固まり次第追記いたします。
5.おわりに
こちらの記事では2027年4月に創設予定の新たな在留資格「育成就労」制度について、技能実習制度や特定技能制度との違いを中心に詳しく解説させていただきました。
育成就労制度は、人手不足に悩む岩手県内の企業様にとって新たな希望の光となる可能性を秘めています。
制度の詳細や具体的な活用方法については今後の政府の発表を注視していく必要がありますが、今から情報収集を始め、制度導入に備えておくことが重要です。
行政書士いのうえ法務事務所では外国人材の受け入れに関する様々なご相談に対応しております。
育成就労制度に関する疑問や不安、具体的な手続きなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。岩手県内の企業様の人材確保と事業発展を全力でサポートさせていただきます。
今後も外国人材に関する最新情報や制度改正の動向などを「お役立ち情報」としてお届けしてまいりますので、引き続きご注目いただければ幸いです。
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