産業廃棄物収集運搬業許可における経営診断書・事業改善計画とは
- 行政書士 井上 知紀
- 4 日前
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更新日:17 分前
こんにちは、行政書士いのうえ法務事務所の井上です。私は岩手県を拠点に許認可専門の行政書士として日々営業しています。その中でも近年ご相談が増えているのが「産業廃棄物収集運搬業」に関するものです。
産業廃棄物収集運搬業は、建設業や製造業など多様な業種を下支えする重要な事業ですが、許可の取得や更新、そして事業継続のためには法令遵守とともに経営の安定性が強く求められます。
財務内容によっては、新規申請や更新申請の際に「経営診断書」や「事業改善計画」の提出が必要となるケースがあります。
本記事では、岩手県内で産業廃棄物収集運搬業を営む事業者様に向けて、「経営診断書」と「事業改善計画」の役割や作成のポイントを詳しく解説してまいります。
1. 経営診断書とは
経営診断書とは企業の財務状況や経営状況を第三者の専門家が診断し、その結果を取りまとめた書類のことです。
岩手県の場合、許可申請の際に債務超過だと提出が求められます。
※債務超過とは…会社や個人の負債(借金など)が資産(現金や不動産など)を上回っている状態のこと。自己資本比率がマイナスとなっている状態。
この経営診断書は、「中小企業診断士」または「公認会計士」に依頼して作成してもらう必要があります。損益計算書や貸借対照表といった財務諸表を中心に経営状況を分析し、今後の改善の方向性を提示することが求められます。
経営診断書に盛り込む内容としては、下記が指定されています。
診断者の記名及び押印または署名
債務超過にいたった原因と現状分析など
債務超過を解消するための事業改善計画(経営改善のための具体的な方策)
今後5年間の収支計画書
今後5年間の収支計画でも債務超過が解消できない場合には、不許可および許可取り消し処分になる場合があるので注意が必要です。
2. 事業改善計画とは
経営診断書と並んで重要なのが「事業改善計画書」です。こちらは事業者自らが作成するもので、今後の経営改善に向けた取り組みを具体的に記載するものです。
岩手県の場合、直前の決算において繰越損失がある場合に提出が求められます。
繰越損失とは
事業改善計画書に盛り込む内容としては、下記が指定されています。
繰越損失を解消する手間の事業改善計画(経営改善のための具体的な方策)
今後5年間の収支計画書
ご覧の通り、事業改善計画は経営改善計画の一部であると言えます。
そのため経営診断書に合わせる形で、私が作成するときは
現状にいたった背景
現状分析(SWOT分析など)
経営改善のための具体的な計画
今後5年間の収支計画
といった構成で作成しています。

3. なぜこれらが必要なのか
岩手県を含め全国の自治体が産業廃棄物収集運搬業者に対し「経営診断書」や「事業改善計画書」を求める背景には、産廃業務の公共性の高さがあります。
産業廃棄物は適正に処理されなければ、環境汚染や不法投棄といった重大な問題を引き起こします。万が一、事業者が経営破綻し収集運搬が滞れば、排出事業者や地域住民にも大きな影響を与えかねません。
そのため行政庁は「安定した経営基盤を持つ事業者にのみ許可を与える」という姿勢をとっており、財務的な健全性や改善の見込みを確認する手段としてこれらの書類が活用されているのです。
「経営診断書」と「事業改善計画」を提出しなければいけないケースは所轄庁によって異なります。
例えばお隣宮城県の場合、債務超過であっても直前3期の経常利益平均と直前期の経常利益が黒字の場合、提出が不要とされています。
岩手県は債務超過の場合「経営診断書」を、繰越損失ある場合には「事業改善計画」の提出が必要であり、比較的厳しい審査基準であると言えます。
これはやはり過去に大規模な不法投棄事件があり、修復まで20年を要した過去があるからと言えるでしょう。
4. 書類作成にあたっての注意点
実際に事業改善計画書を準備するにあたり、事業者様が注意すべきポイントをいくつか挙げます。
1)数字に裏付けを持たせること
改善計画は、将来の売上やコスト削減見込みを「根拠のある数字」で示すことが大切です。例えば「年間燃料費を10%削減する」のであれば、そのためにどのような車両管理を行うのかまで説明する必要があります。
2)現実的な計画とすること
あまりに理想的すぎる計画は、かえって信頼性を損ないます。実行可能性のある範囲で改善策を提示しましょう。決算自体は事業単位ではなく法人単位であるため、全社一丸となって取り組む姿勢が必要です。
3)法令遵守の観点を盛り込むこと
経営改善のために無理な(違法な)やり方になってしまっては元も子もないため、経営改善だけでなく、産業廃棄物処理法の遵守体制についても記載することが求められます。
5. まとめ
産業廃棄物収集運搬業における「経営診断書」と「事業改善計画」は、単に許可を得るための書類ではなく、事業を安定的に継続していくために重要な意味を持ちます。
「経営診断書」は中小企業診断士または公認会計士が担当しますが、「事業改善計画」は事業者自身で作成することができます。
ですが行政庁が求める形式や内容は専門的であり、慣れていない方が独力で作成すると不備が出やすいのも事実です。
債務超過と繰越損失にならないに越したことはありませんが、許可申請の際にこれらをしっかりと準備することは申請をスムーズに進めるだけでなく、事業の信頼性を高め結果として取引先からの評価向上にもつながります。
行政書士いのうえ法務事務所は許認可を専門とし、事業改善計画の作成を得意としております。産廃の事業改善計画に加え、これまで融資や補助金申請に際し多くの事業計画支援を行ってきました。
財務に強くない行政書士では難しい事業計画書が必要なケースでも、行政書士いのうえ法務事務所へお気軽にご相談くださいませ。
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