廃棄物とは何か?産業廃棄物と一般廃棄物の違いを解説します
- 行政書士 井上 知紀
- 2024年9月12日
- 読了時間: 6分
更新日:9月4日
廃棄物処理業は、環境保全に欠かせず非常に重要な事業であり、その事業を適正に行うためには関連する法律や制度を正しく理解することが不可欠です。
特に廃棄物は「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類されますが、処理業の許可においてはそれぞれ独立した許可のため、これから処理しようとする廃棄物がどちらに分類されるかは非常に重要です。
こちらではそもそも廃棄物とは何か、産業廃棄物と一般廃棄物の違いは何かについて、岩手・盛岡の許認可専門の行政書士井上がわかりやすく解説します。
【目次】
1.廃棄物とは
まず、「廃棄物」とは何か、という根本的な定義から見ていきましょう。廃棄物とは、「占有者(特定の物を事実上管理や支配している人)が自分で利用し、また他人に有償で売却できないため不要になった固形上または液状のもの」を指します。
そのためまだ他人に有償で売却できるものは「有価物」であり廃棄物ではありません。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)では下記のように定義されています。
(定義)第二条 ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。 |
この定義には、重要なポイントが2つあります。
1つ目は、「汚物又は不要物」であることです。これは、客観的に見て不要なものであるか、あるいは利用価値がなく捨てられるものを指します。
例えば、製造工程で発生する副産物や、老朽化した機械、使われなくなった建物の一部などがこれに該当します。この「不要物」という判断は、排出事業者の主観だけでなく、その物の性状、排出の状況、通常的な取引の有無、占有者の意思などを総合的に考慮して判断されます。
つまり、「まだ使えるから」という理由だけで「廃棄物ではない」と主張することはできません。
2つ目は「固形状又は液状のもの」であることです。これは「気体状のものは廃棄物ではない」ということを意味します。
例えば、工場から排出される排煙やガス状のものは廃棄物処理法の対象外となります。これらは大気汚染防止法などの別の法律で規制されます。
2.産業廃棄物と一般廃棄物の違い
次に廃棄物の種類について見ていきましょう。廃棄物は冒頭に記載の通り、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類されます。この分類は、廃棄物処理業の事業許可を取得する上で最も重要なポイントであり、それぞれの処理責任者や処理方法が大きく異なります。
産業廃棄物と一般廃棄物の定義は以下のとおりです
産業廃棄物…事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法で定められた20種類のもの
一般廃棄物…家庭から排出される廃棄物と事業活動に伴って発生した廃棄物であって、産業廃棄物にあたらないもの。
大きく分けると上記2種類ですが、さらに下記図のように細分化されます。

各廃棄物の定義は下記のとおりです。
特別管理産業廃棄物…爆発性、毒性、感染性等を有し、人の健康や生活環境に被害を及ぼすおそれのある産業廃棄物
家庭廃棄物…家庭から排出される廃棄物。例)家庭から出るごみなど
事業系一般廃棄物…事業活動に伴って発生した廃棄物であって産業廃棄物にあたらないもの。例)オフィスから出る紙くず、飲食店から出る生ごみなど
特別管理一般廃棄物…爆発性、毒性、感染性等を有し、人の健康や生活環境に被害を及ぼすおそれのある一般廃棄物のうち政令で定めるもの
自社がこれから処理するものが、産業廃棄物か一般廃棄物かによって取得すべき許可が異なってきます。産業廃棄物を一般廃棄物として処理しても違法ですし、一般廃棄物を産業廃棄物として処理しても違法となってしまいます。
上記より、産業廃棄物か一般廃棄物の特定が重要であることについて、ご理解いただけたかと思います。
3.産業廃棄物の種類
前項の定義にも記載しましたが、産業廃棄物は20種類に分類されます。その20種類は排出した事業者の業種のいかんによらず「産業廃棄物となるもの」と、事業者の業種によっては「産業廃棄物になるもの(ならないもの)の2つにカテゴリ分けされます。
まず業種限定のない、「あらゆる事業活動にともなうもの」から解説します。
あらゆる事業活動に伴うもの(12種類)
1)燃え殻:火力発電所や製鉄所などで発生する石炭灰など
2)汚泥:下水処理場や工場などで発生する泥状のもの
3)廃油:ガソリンスタンドや工場などから排出される潤滑油など
4)廃酸:工場や研究機関などから排出される酸性で液状のもの
5)廃アルカリ:工場や研究機関などから排出されるアルカリ性で液状のもの
6)廃プラスチック類:店舗や工場から排出される使用済みのプラスチック製品
7)ゴムくず:ガソリンスタンド等から排出される廃タイヤなどのゴム製品
8)金属くず:解体業者等から排出される金属製のもの
9)ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず:建設現場等で排出される使用済みのガラス容器など
10)鉱さい:鉱物の精錬過程(純度を高める工程)で排出される不純物など
11)がれき類:建設現場で排出されるコンクリートなど
12)ばいじん:物を燃やす過程で発生したススなど
次に排出する事業者の業種によっては産業廃棄物となる、特定に事業活動に伴うものが下記7種類です。
特定の事業活動に伴うもの(7種類)
13)紙くず
14)木くず
15)繊維くず
16)動植物性残さ
17)動物系固形不要物
18)動物のふん尿
19)動物の死体
その他(1種類)
20)以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの
13〜15番に該当するのは主に排出事業者が建設業の場合で、業種限定により産業廃棄物とならない場合は一般廃棄物となります。
ここで重要なことは、自社で処理を依頼された廃棄物が上記のどれにあたるかです。
混合物の場合には複数にまたがる場合もありますし、特に県をまたぐと所轄庁によって見解が異なる場合もあります。
許可のない品目を処理してしまうとこれまた違法となってしまいます。
そのため自社で何を処理する予定でそれがどの品目に当たるかは、事前に所轄庁へご相談されることをお勧めします。
許可が降りてから品目追加もすることもできますが、変更許可申請が必要となり申請手数料の負担が大きいです(岩手県の場合は71,000円↔︎新規の場合は81,000円)。
3.おわりに
こちらの記事では廃棄物の定義から、産業廃棄物と一般廃棄物の違いについて解説をしました。それ自体では産業廃棄物の品目に該当しないため3章では記載しておりませんが、下記4つについては処理する場合に申請書への明記が義務付けられています。
自動車等破砕物
石綿含有産業廃棄物
水銀使用製品産業廃棄物
水銀含有ばいじん等
明記していない場合は処理しないものとされ、処理することができません。処理方法によっては特に環境や周辺への悪影響が大きくなると懸念されるものであり、特別なルールに則った処理が必要とされます。
このように、産業廃棄物は品目の特定が非常に重要でなおかつ難しいです。
自社での申請や取得すべき品目の判断が難しい場合には、ぜひ行政書士いのうえ法務事務所までにご相談ください。
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