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人手不足解消の鍵!中小企業省力化投資補助金とは

執筆者の写真: 行政書士 井上 知紀
行政書士 井上 知紀
10月1日
読了時間: 8分

更新日:10月11日

 こんにちは!岩手県盛岡市にある行政書士いのうえ法務事務所代表の井上です。私は中小企業支援専門の行政書士として、岩手県内の中小企業や個人事業主の皆さまを対象に、補助金の申請や資金調達に関する支援を行っています。


ここ数年、中小企業の経営課題として深刻化しているのが「人手不足」であり、実際に人手不足による倒産件数が過去最多を記録しています(2026年10月時点)。


また倒産に至らなくても、人が集まらないため新規事業を諦めたとういうケースも耳にします。


「求人を出しても人が集まらない」

「外国人材は結局お金が多くかかる」

「人が足りなくて既存スタッフに負担がかかっている」


こうしたお悩みを抱える事業様も多いのではないでしょうか。そこで活用を検討したいのが、「中小企業省力化投資補助金」です。


今回は、省力化投資補助金の概要から補助対象となる設備、補助率・補助上限額、申請時の注意点まで詳しく解説します。


【目次】



1.省力化投資補助金とは

 省力化投資補助金とは、人手不足に悩む中小企業等が業務の効率化や生産性向上を目的として設備・システム等を導入する際に、その費用の一部を国が補助する制度です。


これまで従業員が手作業で行っていた業務を機械で自動化したり、システムを導入して事務作業の時間を短縮したりする取組などが想定されています。


単に人手不足を解消するだけでなく、省力化によって生まれた時間や人員を、売上拡大や付加価値の高い業務に振り向け、企業の成長や賃上げにつなげることが目的です。


本補助金には、次の2つの申請類型があります。


  • カタログ注文型

  • 一般型


対象となる設備や補助上限額、申請方法が異なるため、それぞれの申請類型について詳しく確認していきます。



2.カタログ注文型

 カタログ注文型は、あらかじめ補助金事務局が登録した製品の中から自社に必要な省力化設備を選んで導入する制度です。


例えば清掃ロボット、自動精算機、配膳ロボットなどが導入候補となります。対象製品がカタログに登録されているため設備選定を進めやすいことが特徴です。


製品は製造事業者が事前にカタログ製品として申請・登録をし、さらに販売事業者はどの製品を販売するのかを申請・登録します。


補助金の申請はこのうち販売事業者と共同で行う必要があります。デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)と同じスキームです。


製品カテゴリは主に

  • 主に非製造業を対象としたカテゴリ

  • 非製造業と製造業を対象としたカテゴリ

  • 主に製造業を対象としたカテゴリ


の3つに分けられますが、詳細な分類では208カテゴリに分けられています。


補助対象や補助率などは下記の通りです。


省力化投資補助金のカタログ注文型まとめ

「カタログから選ぶ」という特徴に加え、随時申請受付されているという点も特徴です。



3.一般型

 一般型は、個々の事業者が抱える課題に合わせて(オーダーメイドで)設備導入やシステム構築を行う取組を支援する制度です。カタログ注文型と異なり、あらかじめ登録された製品から選ぶ必要はありません。


例えば、次のような取組が考えられます。

  • 製造業:生産工程を自動化する産業用ロボットの導入

  • 建設業:作業工程の省人化につながる機械設備の導入

  • 食品加工業:包装・検品工程の自動化設備の導入

  • 物流業:仕分けや搬送作業を自動化する設備の導入


ただし、設備を導入すれば必ず補助対象となるわけではありません。詳しくは次章意向で説明しますが、業務の省力化にどのような効果があるのか事業計画によって具体的に示す必要があります。


一般型は最大1億円という大きな補助上限額が設けられており、本格的な設備投資を検討している企業にとって有力な選択肢となります。


その一方で、申請は事業者単独で行う必要があり、かつ省力化・付加価値向上の事業計画を自身で策定し申請する必要があるため、申請の難易度はカタログ型に比べて非常に高いと言えます。


補助対象や補助率などは下記の通りです。


省力化投資補助金の一般型まとめ


4.カタログ注文型と一般型、どちらを選ぶべき?

 両者の違いを分かりやすく整理すると次のとおりです。


カタログ注文型と一般型の違い

まず自社の課題解決につながる製品がないか、カタログ注文型のカタログ内から探すとよいでしょう。省力化につながるとして事務局より登録されている製品だからこそ、課題解決につながる可能性も高いと言えます。


また事業計画の記載内容が非常に少なく添付書類も少ないうえ、さらに販売事業者との共同申請のため申請ハードルが低いからです。


一方、独自の生産ラインの構築や複数設備を組み合わせた業務改革を検討している場合には、一般型が候補となります。



5.省力化投資補助金を申請する際のポイント

 省力化投資補助金の活用を検討するにあたって一番重要なことは、「設備を購入すること」自体が目的にならないようにすることです。カタログ注文型の申請はそう難しくないため、こちらでは一般型申請時のポイントについて解説します。


① 現状の課題を明確にする

 SWOT分析や5フォース分析などのフレームワークを用いて、自社内外を取り巻く環境の分析を行います。そこから導き出される課題に対し、今回省力化投資補助金を活用するに至った経緯や目的、必要性を記載します。ここで課題と補助金で取り組む事業の因果関係がないと、まさに「設備導入が目的と化している」と判断され、採択は難しいでしょう。またよくありがちなケースですが、設備導入を前提とし、そこからつじつま合わせ的に環境分析の内容や課題を記載することはオススメしません。自社のためにならないからです。


②投資内容と期待される効果を詳しく記載する

 一般型は特にオーダーメイドの製品となるため、審査員にその設備がどのような性能・機能を有するかを詳細に記載します。特に単体の設備ではなく、デジタル技術(IoTやAIなど)と組み合わされ、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化につながる根拠などを記載します。またカタログ型にもある程度似たような製品がある場合には、なぜカタログ型の製品ではダメでオーダーメイドである必要があるかも記載すると良いでしょう。

 発注予定先は決まっていなくても大丈夫ですが、決まっていた方がよいと言えます。決まっていないと詳細な性能について記載できないですし、採択されたあとにその製品を製造できる業者がいない(技術力・予算・日程など)という事態もあり得るからです。

 次に設備導入前後の業務プロセスや設備の配置について、図を用いて詳細に説明を行います。専用のシートが用意されており、そこに入力すると、導入前後での作業時間の変化量が自動計算されます。ストップウォッチを用いて実際に測定するなど、入念な調査がのちのち大きな効果をもたらします。


③ 省力化後の成長戦略を考える

 省力化により生まれた時間や労働力をどのように活用し、売上や付加価値の向上、賃上げにつなげていくのかを記載します。補助金の審査では単なる設備導入ではなく、経営全体にどのような効果をもたらすかが重要な視点となります。特に中小企業においてはリソースが限らかつ大企業に比較し労働生産性が低いため、高付加価値な業務に注力していくことが求められます。高付加価値な業務とは、競合他社との差別化につながったり収益性が高かったりなど、自社にとってのコア業務を指します。


④財務計画を立てる

 ここでは設備投資にかかる費用の調達計画を記載するとともに、省力化後の成長戦略を定量的な事業計画として記載します。事業計画では5年間分の売上高や売上原価、販管費の計画を記載し、かつ労働生産性を向上させていく必要があります。労働生産性は複数の計算方法がありますが、省力化投資補助金では「付加価値額を役員と従業員の人数で割った額」が採用されています。付加価値額は営業利益と人件費と減価償却費を足した額です。付加価値額増加につながるのは


  • 生産プロセスの改善により売上高や営業利益が増加

  • 賃上げによる人件費の増加

  • 設備投資をするため基本的に減価償却費は増加(既存設備の償却が終わると減少の場合もあり)


などです。分母が「人数」である以上、人数を減らせば労働生産性は向上しますが、解雇を前提とした労働生産性向上の計画は避けるべきでしょう。


また数字遊びでは説得力がないため、売上の増加や売上原価の減少は、


  • 生産個数および販売個数の増加

  • 販売単価の値上げ

  • 1個あたりの売上原価減少額


など、細かく分析して根拠ある数字とする必要があります。



6.おわりに

 本記事では、企業の人手不足を解決する1つの手段として省力化投資補助金について解説を行いました。人手不足が深刻化する中、採用強化ももちろん重要ですが、限られた人員で事業を成長させる省力化という方向性も重要になっています。


省力化投資補助金は、こうした課題を抱える中小企業にとって、設備投資の負担を軽減できる有効な制度です。ですが、補助金ありきで設備投資を進めるのではなく、自社の経営課題を整理し投資によってどのような成果を実現したいのかを明確にすることが大切です。


行政書士いのうえ法務事務所では、岩手県内の中小企業・個人事業主の皆さまを対象に、補助金の活用相談や

事業計画の策定、資金調達に関する支援を行っています。


「自社が補助対象になるのか知りたい」「設備投資を検討しているが、どの補助金を活用すればよいかわからない」といったお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。


  この記事を書いた人

井上知紀行政書士

井上知紀

行政書士・許認可×資金調達プロデューサー


 地方銀行での融資・法人営業経験を活かし、許認可と資金調達の両面から中小企業を支援。財務要件のある運送業・建設業・産廃業廃棄物収集運搬業許可を得意としている。


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