3分でわかる、運送業における運行管理者(補助者)とは
更新日:9月26日
貨物自動車運送事業を開始する際、運行管理者が人的要件として定められています。こちらの記事では運行管理者とは何か、どのようにしたら選任されうるのかについて、岩手・盛岡の許認可に詳しい行政書士が解説します。
1.運行管理者とは
運行管理者とは、道路運送法及び貨物自動車運送事業法に基づき、「事業用自動車の運転者の乗務割の作成、休憩・睡眠施設の保守管理、運転者の指導監督、点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示等、事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行う責任者」を指します。
もう少し分かりやすく具体例を挙げると、
・運転手に選任された者以外の者に運転させないこと
・乗務員の休憩施設や睡眠施設を適切に管理すること
・勤務表を作成し運転手を乗務させること
・酒気をおびた状態にある乗務員を乗務させないこと
・乗務員の健康状態の把握に努め、安全な運行をできない場合には乗務させないこと
などです。
事業者は、営業所ごとに保有する車両の台数に応じた人数の運行管理者を選任しなければなりません(貨物軽自動車運送事業者を除く。)。
必要な運行管理者の人数は下記の通りです。
営業所の車両保有台数 | 運行管理者の人数 |
1〜29台 | 1人 |
30台〜59台 | 2人 |
60台〜89台 | 3人 |
以降は記載しませんが、30台増えるごとに1人ずつ加算されていきます。
運行管理者は専従のため、同一法人で複数営業所を有する場合でも兼務はできません。
1つの営業所で複数人選任することも可能ですが、その場合は運行管理者を統括するものとして統括運行管理者を選任します。
では、この運行管理者として選任されるためには、どのようにしたらよいのでしょうか。
2.運行管理者に選任されるには
運行管理者に選任されるには、2通りの方法があります。
1)運行管理者試験に合格する
試験は誰でも受験できるわけではなく、受験資格として次のいずれかに該当する必要があります。
①事業用自動車の運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者。
②実務の経験に代わる講習を修了した者(※)。
※講習認定機関が行う基礎講習
※講習認定機関一覧(国土交通省)はコチラ>>>
2)事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の実務経験その他の要件を備える
取得しようとする運行管理者資格者証の種類ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除く。)の事業用自動車運行管理に関し、5年以上の実務経験を有しその間に運行管理に関する講習を5回以上受講していること等の要件があります。
運行管理に関する講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習と一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。
運行管理者試験は国家試験でありその合格率は約33%程度であり、また年2回の開催のため受験の機会も少ないです。
実務経験を有したり講習を受講したりした方が受験する中で合格率が約33%であり、難易度はなかなか高いとも言えます。
中長期的に取得要件2を満たすことを考えていく事も1つの手段でしょう。
運行管理者を選任した場合には、運輸支局へ選任届を提出する必要があります。
3.運行管理者補助者
運行管理者に似た名称として「運行管理者補助者」があります。
名称の通り運行管理者を補助する立場にある者を意味します。
運行管理者が1人の場合24時間勤務し続けることが不可能なため、あらかじめ選任し運行管理者の指導監督の下で運行管理を行います。
運行管理者補助者として選任されるための要件は下記のいずれかです。
1)運行管理者資格証を取得している
2)運行管理者指導講習会の基礎講習を受講している
また運行管理補助者は運行管理者の業務を完全に代務できるわけではありません。
1)点呼の一部(少なくとも1/3は運行管理者が実施する必要あり)
2)運行指示書に係わる資料作成及び運転者への伝達行為
の2つに限られます。
運行管理補助者は選任したとしても任命のみで、運輸支局へ選任届の提出は不要です。
4.おわりに
本記事では運行管理者(補助者)の業務内容と、選任されるための要件について解説をしました。
運行管理者に選任されることは簡単なことではないですが、運行管理者がいないとそもそも事業が成り立ちません。
そのため資格の取得を推奨したり補助者に選任し経験を積ませたりし、社内で選任されうる人を増やすことが経営上のリスクヘッジに繋がります。
ぜひご検討ください。
【岩手・盛岡で貨物自動車運送事業許可と言えば“行政書士いのうえ法務事務所”!】
行政書士いのうえ法務事務所
井上 知紀
〒020-0033 岩手県盛岡市盛岡駅前北通6-36
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