岩手県における一般貨物自動車運送業許可の要件とは?|開業前に必ず確認すべきポイントを行政書士が解説
- 行政書士 井上 知紀
- 2024年11月21日
- 読了時間: 12分
更新日:3 日前

岩手県で一般貨物自動車運送業を始めたい方へ
「営業所としてこの建物は適切だろうか」
「許可までどのくらいの期間かかるのだろうか」
「開業には2千万必要だと言われたけど本当だろうか」
今、この記事を読んでいるあなたにはこんな心配があるのではないでしょうか?一般貨物自動車運送業許可のご相談で非常に多いのが、上記のようなご相談です。
特に岩手県では、
営業所と車庫の距離要件
車庫の前面道路幅
自己資金の考え方
など、事前確認を怠ると取り返しがつかないポイントがいくつもあります。
お客様から運賃を受け取って運送を行うには貨物自動車運送事業許可が必要ですが、許可取得には「人・もの・金」に関する厳格な要件を一つずつクリアしていく必要があります。
この記事では、岩手県で一般貨物自動車運送業の開業を検討している方に向けて許可要件の全体像と実務上つまずきやすいポイントを、運行管理者資格保有の行政書士井上が分かりやすく解説します。
【目次】
1‐1 | なぜ一般貨物自動車運送業には許可(緑ナンバー)が必要か
1‐2 | 許可取得に際し苦労した実例
3-1 | 経営者(欠格事由)
3-2 | 運転手
3-3 | 運行管理者
3-4 | 整備管理者
4-1 | 営業所
4-2 | 車庫
4-3 | 車両
5-1 | 運転資金
1.一般貨物自動車運送業を始める前に知っておくべきこと
なぜ一般貨物自動車運送業には許可(緑ナンバー)が必要か
一般貨物自動車運送業とは、他人からお金をもらってトラックなどの車両により貨物を運送する事業をいいます。この事業を行うためには、貨物自動車運送事業法に基づき国(運輸局)から「一般貨物自動車運送事業許可」を受ける必要があります。
【貨物自動車運送事業法】 第二条(定義) 2 一般貨物自動車運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。 第三条(一般貨物自動車運送事業の許可) 一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。 |
無許可で有償運送を行った場合、罰則の対象となるため注意が必要です。
2026年4月の改正貨物自動車運送事業法施行をきっかけに、トラック業界での無許可営業(いわゆる「白トラ」)に対する取り締まりが厳しさを増しています。
「少しだけならいいだろう」「少しだけならバレないだろう」と思い行為に及んでも、実際に少量の果物や引っ越し荷物を運んだケースでの逮捕者が出ています。
運送業を行うには運行管理者や整備管理者を配置する必要があり、なおかつ日々の点呼や業務管理(連続運行時間など)、年次での業務報告など、厳しい運営管理体制が必要です。
一方で白トラは違法であるがゆえにそのような厳しい体制がとられていないケースも多く、重大な事故に繋がりかねません。運送業は日本のインフラを支える重要な事業であるからこそ、許可を取得しルールに則った運用が求められています。
許可取得に際し苦労した実例
岩手県内での運送業許可申請件数は毎年そう多くはないですが、私はありがたいことに開業以来毎年受任させていただいております。運送業に魅力を感じ自分でも運行管理者資格を取得しました。
運送業許可は投資額が大きくかつ審査期間も長いため、失敗したときの損失が大きくなりがちです。何とかリカバリーを効かせることができたため最終的に許可を取得できましたが、過去に以下のような対応に苦慮したケースがあります。
契約した車庫の前面道路幅が足りなかった
土地建物の賃貸借契約書の内容が甘かった
必要資金が足りず代表者借入金でまかなった
申請前に許可要件を十分確認せず進めてしまうとこのようなことにもなりかねません。時間がかかるとその分さらにお金がかかることもあるため、事前設計が一番大事であると言えます。
2.一般貨物自動車運送業許可の要件は「人・もの・金」
一般貨物自動車運送業許可の審査では、主に次の3つの要件が確認されます。
人的要件
物的要件
資金要件
以下、それぞれについて解説します。スムーズな許可申請を行うためにも、許可要件の全体像を一緒に確認していきましょう。
3.【要件①】人的要件
1)経営者(欠格事由)
運送業の経営者になるには欠格事由に該当しないことが求められ、この欠格要件は貨物自動車運送事業法により定められています。
貨物自動車運送事業法 第5条(欠格事由) 一 許可を受けようとする者が、一年以上の拘禁刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者であるとき。 二 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者であるとき。 三 許可を受けようとする者と密接な関係を有する者が一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者であるとき。 |
主なポイントを分かりやすく整理すると、経営者が以下に該当する場合は原則として許可を取得できません。
過去5年以内に一定の刑罰を受けている
過去5年以内に一般貨物または特定貨物の許可を取消されている
親会社・子会社等が許可取消処分を受けている
申請後に欠格事由が判明すると、準備にかけた時間や費用が無駄になってしまいます。必ず申請前に確認しましょう。なお、経営に対する経験年数は特段求められていません(⇔建設業/5年)
2)運転手
一般貨物自動車運送業を開始するには最低でも5台の車両が必要であり、そのため運転手も最低5名必要です。ただし申請時点で全員が揃っている必要はなく、運送業許可の取得後に採用予定であっても申請を受け付けしてくれます。
運転手は経営者との兼務でも、さらに運行管理者(運行管理者補助者)、整備管理者との兼務でも可能です。日雇いの方などは運転手になれませんが、要件を満たしていればパートやアルバイトの方でも可能です。
3)運行管理者
運行管理者は1名以上必要ですが、誰でもなれるわけではありません。運行管理者になるには運行管理者試験に合格するか運送業に関する実務経験が必要です。
また一定規模以上の企業では運行管理者が複数名いて常駐していることもありますが、小規模な企業ではそうはいかないケースもあります(運転手兼任のケースなど)。その場合、運行管理者補助者を選任する必要があります。
運行管理者補助者を選任することで相互に点呼が可能になったり、運行管理者がお休みなどで不在の場合でも点呼ができるようになったりします。
運行管理者や運行管理者補助者については以下の記事で詳しく解説しています。
4)整備管理者
整備管理者は1名以上必要です。運行管理者と同様で誰でもなれるわけではありません。運転手さらには運行管理者との兼務でも問題ありません。
整備管理者については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:運送業における整備管理者とは?
4.【要件②】物的要件
1)営業所
営業活動を行うための拠点として営業所が必要となります。広さ自体に決まりはありませんが、営業活動を行うために必要な広さがあり、電話、FAX、書類保管用の棚などの設備があることは求められます。
申請時にまだ上記設備がない場合には、許可取得後から事業開始前の間に設置し、あとから写真を提出する必要があります。
また、営業所には休憩施設や睡眠施設を設ける場合があります。休憩施設は必須ですが、睡眠施設は睡眠をともなう運行がない場合には設置する必要がありません。
睡眠施設のみ、「睡眠を与える必要がある乗務員1人につき2.5㎡」という広さの要件があります。これはあくまで同時に睡眠をとる人数についてであり、乗務員全員の人数×2.5㎡ではありません。
営業所は自社所有でも賃貸でもどちらでも大丈夫です。賃貸の場合には賃貸借契約書等の写しを提出します。賃貸借契約書上の契約期間は原則許可後から2年以上である必要があります。仮に契約期間が1年であっても自動更新条項があれば問題ありません。
申請時期にもよりますが申請から許可まで3~5ヶ月程度かかるため、その期間を加味して契約期間(賃貸開始日)を決めてください。
さらに営業所と車庫間には距離要件があり、営業所は車庫から直線距離でおおむね5km以内でなければいけません(岩手県の担当審査機関である東北運輸局の場合)。
この距離要件に関しては各管轄運輸局によって取り扱いが異なる場合がありますので、賃貸借契約または売買契約前に確認されることをオススメします。営業所の用途地域としては市街化区域内であることが求められます。市町村のHPなどで調べることができます。

2)車庫
車庫は「車両と車庫」、「車両と車両」の間に50cm以上の間隔を確保でき、かつ全車両収容できる広さが必要です。
また前面道路幅については一定の幅が必要であり、これは前面道路が車両制限令の何条何項道路かと使用する車両の大きさ応じて変わってきます。
(※「前面道路」とは車庫から一番近い公道のことを指します。)
前面道路幅が足りないとせっかく車庫用の土地を契約しても使用できないという事態になりかねません。幅員についてはかなり込み入った内容となるため、下記記事で詳しく解説しています。
3)車両
申請時、車両は最低5台確保している(または確保予定である)必要があります。車両の大きさによって必要な車庫の広さや前面道路幅が変わってくるため、車検証や仕様書等を提出します。
自社所有でもリースでも可能ですが、その場合にはリース契約書や所有者からの使用承諾書が必要になります。岩手運輸支局への提出時には見積書や申込書でも申請自体は可能ですが、東北運輸局での審査時に契約書の提出が求められます。
また申請時の使用者は申請者でなくてもよいですが、運送業許可後のナンバー変更時に申請者へ変更する必要があります。
牽引車単体では運送業許可における車両としてカウントされません。牽引車と被牽引車がセットで1台のカウントとなりますので注意しましょう。
5.【要件③】資金要件
1)運転資金
申請時には所定の申請様式に基づいて必要な資金を計算するのですが、運転資金として6か月分の人件費や燃料費、1年分の車両リース代等が必要となります。
そのためこれから車両や車庫用土地の購入・賃貸を行う場合だと、必要な自己資金額が高額になるケースが多くあります。
ただし、あくまで運送事業に関わる方および車両のみが対象です。例えば運送事業と他の事業を兼任している場合、その割合に応じて人件費を案分しても問題ありません。
また許可後には対人無制限、対物200万円以上の車両保険に加入する必要があります。見積書の提出までは求められませんが、正確な資金計画作成のためにも事前に取得しておくと良いでしょう。自己資金の疎明は預金残高証明書にて行います。
必要な運転資金の見込みは限りなく低く抑えたいところではありますが、審査段階で指摘が入り修正したところ、「残高証明書の金額を超えてしまう」という事態にならないよう注意しましょう。運転資金自体は借入金で賄っても問題ありません。
残高証明書は許可申請書類を岩手運輸支局に提出する際と、東北運輸局での審査が終わる直前の2回提出する必要があります。万が一、2回目の残高証明書提出の際に運転資金を下回っていると不許可になります。

貨物自動車運送業開業にともなう必要資金の目安については、下記で詳しく解説しています。必要資金の全体像が気になる方はぜひ参考にしてみてください。
6.まとめ | 岩手県で一般貨物自動車運送業を開業したい方へ
ここまで一般貨物自動車運送業の新規許可要件について、人的要件、物的要件、資金要件の3つの観点から解説しました。
一般貨物自動車運送事業許可の取得は決して簡単なものではありません。車両が最低5台必要かつ全車収容できる車庫も必要であり、大きな投資を伴う場合があります。
今回解説した要件を一つずつクリアしていくことで許可取得へと近づくことができます。申請時期にもよりますが、申請してから許可までには約3~5ヶ月を要します。そのため営業所や車庫の賃貸にかかる期間を加味すると、開業予定時期の半年前には準備を始めると良いと思います。
車両等を取得・契約してから要件を満たしていないことが判明すると大変なことになりますので、事前に入念な調査を行いましょう。
もし許可取得に関して不安な点や疑問点があれば、お気軽に行政書士いのうえ法務事務所までご相談ください。
豊富な知識と経験、運行管理者資格を持つ私が皆様の許可取得を全力でサポートいたします。

この記事を書いた人

井上知紀
行政書士・許認可×資金調達プロデューサー
運行管理社資格所有
地方銀行での融資・法人営業経験を活かし、許認可と資金調達の両面から中小企業を支援。財務要件のある運送業・建設業・産業廃棄物収集運搬業許可を得意としている。
一般貨物自動車運送事業の許可申請の流れや報酬については下記ページをご参照ください。
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