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古物商許可業者が知っておくべき「取引記録義務」とは

  • 執筆者の写真: 行政書士 井上 知紀
    行政書士 井上 知紀
  • 5 日前
  • 読了時間: 5分

更新日:49 分前

 昨今ではポケモンやワンピース等のカードゲームの賑わいを背景に、個人でも古物商許可を取得し古物営業を行う方が増えています。古物営業は一見、自由に売買できるように思われがちですが、実は「取引の記録義務」という非常に重要なルールが定められています。この義務を怠ると、最悪の場合は営業停止や許可取消しといった行政処分の対象にもなりかねません。今回は、古物商として日々の業務で必ず押さえておくべき「取引記録義務」について詳しく解説いたします。



【目次】



1.取引記録義務の根拠とは

 古物営業法第18条には、「古物商は、その取引の状況を帳簿に記載し、3年間保存しなければならない」と明記されています。

【古物営業法 第18条】

 古物商又は古物市場主は、前二条の帳簿等を最終の記載をした日から三年間営業所若しくは古物市場に備え付け、又は前二条の電磁的方法による記録を当該記録をした日から三年間営業所若しくは古物市場において直ちに書面に表示することができるようにして保存しておかなければならない。

これは、盗品の売買など不正な取引を防止するために設けられた制度です。警察が盗難事件を捜査する際、取引記録が重要な手掛かりとなるケースが多く、社会的にも大切な意味を持ちます。


また、帳簿といっても必ず紙でなければいけないわけではなく、最近では電子データでの記録(ExcelやNotion等)も認められています。ただし、必要な項目が正確に記載されていること、そして容易に閲覧できる状態で保管しておくことが求められます。



2.記載すべき主な項目

 古物営業法施行規則第16条により、取引帳簿には次のような事項を記載する必要があります。


①取引年月日

  いつ取引を行ったかを正確に記載します。


②古物の品目および数量

 例)ノートパソコン1台、ネックレス1つ


③古物の特徴

  例えばノートパソコンの場合、「Lenovo社製、型番123456AB、キーボードがやや白く擦り切れあり」など、具体的に特定できるように書きます。


④取引の相手方の氏名・住所・職業・年齢

買い取りの際は、相手方の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)に基づいて記録する必要があります。 ※法人の場合は、商号・所在地・代表者氏名を記載します。


⑤本人確認の方法

  どのような書類で確認したのか、または対面以外で確認した場合の手続方法(郵送・オンライン等)も記録します。




3.保存期間と管理方法

 これらの帳簿は、最終の記載をした日から3年間保存する必要があります。保存方法は紙でも電子でも構いませんが、警察から求められたときにすぐ提示できるように整理しておくことが重要です。


また、帳簿の改ざんや削除は法律上禁止されています。たとえ軽微なミスであっても、訂正には「訂正印」を押すなど、修正履歴が分かる形を取ることが望ましいです。


取引記録義務に違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性があります。

【古物営業法 第33条】

二 第十六条又は第十七条の規定に違反して必要な記載若しくは電磁的方法による記録をせず、又は虚偽の記載若しくは電磁的方法による記録をした者

また、繰り返し違反した場合や悪質と判断されれば、古物商許可の「取消処分」や「営業停止命令」を受けることもあります。


「忙しくて帳簿が追いつかない」

「データ管理に不慣れでミスが多い」


といった事情があっても、法律上は免責されません。古物営業を始める前に帳簿を用意し、日々の業務において取引の都度、確実に記録を行う体制を整えておくことが求められます。


古物台帳
古物台帳/出典:警視庁

警視庁が公開している古物台帳テンプレートをエクセル化しましたので、よろしければご利用ください。



4.実務上のポイント

 実際の現場では、以下のような工夫を取り入れると管理がスムーズになります。


  • Excelなどでテンプレートを作り、必須項目を固定化する

  • Notion等を利用し、複数人で状況確認をできるようにする

  • 毎日または週単位で取引記録を更新する習慣をつける

  • 本人確認書類のコピーを取引記録と一緒に保管する

  • 従業員にも帳簿記載の重要性を周知し、ルールを統一する


こうした基本の積み重ねが、結果的にトラブル防止や信頼獲得につながります。



5.取引記録義務が免除されるケース

ここまで「取引記録義務しっかり果たしましょう」と説明してきました。


ただ、実はすべての取引に対し義務が課されているわけではありません。次の場合には記録義務の全部または一部が免除されています。


  • 取引の総額が1万円未満のとき(※ただし、自動二輪、ゲームソフト、CD、本などを除く)

  • 自分が売却したものを買主から買い受けるとき

  • 美術品、時計や宝飾品、自動車、自動二輪および原付自転車以外のもの(売却時のみ記録義務免除)



6.まとめ

 古物商許可を取得し営業を行う上で、取引記録義務は「形式的な手続き」ではなく、事業の信用を守るためや事業を継続していくために必要な根幹ともいえるルールです。


古物商許可は他の許認可に比べ比較的簡単に取得できますが、当然取得して終わりではありません。


岩手県内でも中古車、リサイクル品、ブランド品など、多種多様な古物取引が行われていますが、共通して重要なのは「誰から、どんな品を、どのように取引したのか」を明確に記録し、必要に応じてすぐに提示できる状態にしておくことです。


行政書士いのうえ法務事務所では、古物商許可申請のサポートに留まらず、帳簿様式の作成や記録運用のアドバイスも行っております。


古物商許可の取得はぜひ当事務所にご相談くださいませ。



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